コース選択 ー5つのコースー


2年次になると多様性コ−ス、情報コース、分子細胞コース、応用生物コース、人間生物コースの5つのコースに分かれます。
一部の授業を除けば、どのコースの授業もほぼ自由に履修することができます。

■多様性コース
 「生命の起源」以来、個々の生命が継続的に維持され、結果的に多種多様な種が生じてきました。これらの個体群が存続するための仕組みも、種によって多様であるばかりか、生物の集団や個体群、個体、細胞、生体高分子などという各レベルにおいてもそれぞれ異なっています。長い進化の結果、現在の地球上に見られる様々なレベルにおける生物の多様性はどのように生じ、保たれてきたのでしょうか。また、生物は環境により影響を受けているだけでなく、環境に対しても影響を与えており、生物と自然環境は複雑な関係を保ち続けてきました。個体間や種間の、さらには生物と環境との相互作用など、生物の生活と環境が創り出す現象や法則に関する基本的諸問題もこのコースで学べます。

●多様性コースの専門科目例
  植物系統分類学、動物系統分類学、微生物学、進化遺伝学、植物生態学、動物生態学                

シダ植物の葉柄の断面 ナズナの葯(パラフィン切片像)

■情報コース
 近年、生物の集団・細胞・生体高分子の各レベルにおいて、構造・機能の多様性と普遍性に関する膨大な研究情報が蓄積されています。生物学の更なる発展のためには、これらから有用な情報を抽出し、有効利用しなくてはなりませんが、その道具としてコンピュータは不可欠です。本コースでは、コンピュータの高度利用を前提として行われる先端的生物学研究の方法論を習得することを目標とします。また、その基礎となる数理・情報科学の各種手法に対する理解も深めます。昨今コンピュータに秀でた生物学専門家の需要が高まっており、本コース修了者はこうした需要に応えうる人材となることが期待されます。

●情報コースの専門科目例
  プログラミング、数理生物学、生物多様性情報学、分子進化学、ゲノム生物学、生物物理学

生物物理学実験 サメ嗅上皮の切片(嗅細胞の蛍光染色像)


■分子細胞コース
 生物の体の成り立ちや自然に適応する仕組みは大変見事で、私たちを驚嘆させます。どのようにして生命活動が成り立ち、生物個体が形成され、機能しているのでしょうか。また、生物が自分と同じ子孫をつくりつつも、一方で長い年月の間に進化していくのはどうして可能なのでしょうか。そのような生命の基本的なしくみを理解することを目指して、遺伝子やタンパク質、細胞の機能に関して学習するのが「分子細胞コース」です。さらに、そこで得られた知識の発展として、基礎研究や人間社会に貢献するテクノロジーについても学びます。

●分子細胞コースの専門科目例
  細胞生物学、発生生物学、植物生理学、動物生理学、代謝生理化学、生殖生物学、分子生物学

マウスの脂肪細胞(赤色の部分) 細胞生物学臨海実習 ニワトリの骨染色

■応用生物コース
 生体が作り出す様々な機能分子とそれらを使ったダイナミックな代謝が生命を支えます。また、様々な環境で暮らす生物は、生存のために必要な多様な機能を備えています。「応用生物コース」では、生命現象を主に生化学的に解析することを通して、生命を支える分子の機能やその化学的制御機構に関する基礎知識を学ぶとともに、生物が備える生理・生態的機能についても学習します。生物の有用機能の開発・利用技術を学び、さらにこれらを応用することで、人類の直面している諸問題解決への貢献を目指します。

●応用生物コースの専門科目例
  生体機能分子学、植物制御学、動物制御学、機能微生物学、生物化学、生物活性化学、植物バイオテクノロジー
 

フェロモントラップ タンパク質の電気泳動 応用生物化学実験

■人間生物コース
 人間は我々にとって最も身近で複雑な生き物です。「人間生物コース」では、生物の一種としての人間に的を絞り、人間を制御する基本原理や法則を学びます。このコースの一部の授業は医学群や体育専門学群の教員によって行われます。しかし、学習の目的はあくまでも人間を生物学的に理解することにあり、医学や医療科学の立場とは異なります。(注:このコースは人数制限があります。)

●人間生物コースの専門科目例
  人間生物学、神経解剖学、免疫生物学、寄生生物学、細菌学、ウイルス学、放射線生物学、人類学
 

伸長している軸索の細胞骨格 遺伝子機能研究用マウス ショウジョウバエ成虫の頭部断面