国際交流

留学生からのメッセージ


・桜

金 映季(生物学類2年,留学生)

 私が筑波にやってきたのは2001年4月であった。長い道をたどったが、ようやく異国の地で2度目の大学の新入生になったのだ。ちょうど筑波は桜の季節になっていた。毎朝、自転車で走る道は桜が満開だった。まだ慣れてない朝の早起きで、半分は目が開かないまま部屋を出ても、冷たい空気と桜の明るさで思わず目がさめた。その後、雨に降られ、風に吹かれ、ついに桜が一斉に散ってしまい、とっても寂しくなった。しかし、桜の花びらは池の水面に浮かび、池は2週間も花びらの波で揺れていた。
 韓国で大学に通っていた時、無二の親友に出会った。性格は多少違っていたが、私と同じく長女である彼女とすぐ親しくなった。私は純粋な彼女が大好きだった。彼女のふるさとは韓国では桜で一番有名な「ジンヘ」であった。毎年、春の知らせのように桜のつぼみがふくらむ頃になると、彼女は「ふるさとの桜が懐かしい」と、よく授業中空を見つめていた。桜が満開の頃にはふるさとの桜の花びらの雨に降られたいとも言った。桜の美しさを全然知らなかった私はてっきり、生まれて初めてふるさとから離れた彼女がホームシックになったと思っていた。
 3年生になった春のことであった。人との関係に疲れ、繰り返す日常生活に疲れ、すこしずつ毎日の生活がいやになっていたときだった。ある日突然、彼女が誘った。「ふるさとの桜の祭りに行かない?」予定もなかった突然の旅ということに心が動き、彼女のふるさとに行くことにした。そこは市というより大きい町ぐらいだったが町中が桜の花で満ち溢れていた。それを見て彼女がホームシックではなく、本当に桜が見たかったということを分かった。その日、私は初めて桜の花びらの雨にふられた。そして、桜が散った後の悲しみを感じた。
 来年も4月になると、日本の大学で、桜が満開の下の道を自転車で走るだろう。美しく咲き、一瞬で散ってしまう桜でも、次の春のため点点と青く芽を出す桜の姿を見ながら、私も頑張ろうと自分を勇気づけよう。