「諫早湾干拓事業と環境問題に関する調査」

970797 安藤 友一              指導教官 ダリル・メイサー

<導入>

 近年、日本に限らず世界中で公共事業が問題にされている。税金の無駄遣い、公共事業による環境破壊などがそれである。そのなかでも有名な、長崎県諫早湾の問題を取り上げ、一般の方々が「自然」に対してどのように思っているのか、また、環境問題にどれほど関心を持っているのかアンケートを行った。

<方法>

アンケートの方法は、つくば市の公園やショッピングセンターに行き、そこにいた人々に協力をしていただき、また、つくば市だけでなく私の出身地である名古屋市の市民の方々にも同様に協力をいただいた。最終的に143通のアンケートが集まった。

<結果>

 アンケートの最初の質問を「自然という言葉を聞いて心に浮かぶイメージや、自然について普段考えていることは」とした。その質問の答えとして、山、緑、海や河といったものが多かった。また、「人間も自然の中に生きており、その人間による様々な環境破壊は動物の絶滅を招いている」というような答えもあった。質問2は「あなたは環境問題について関心はありますか」というもので「はい」65%、「いいえ」15%、「どちらでもない」20%であった。


質問3      1993     2001         1993   2001                    1993      2001



a.「無農薬」と表示された食物を買った        b.環境問題の原因になるので買うのをやめたものがある  c.環境問題を考えて寄付や、活動をした 


 はい      
57%      27          51    15                     39       13     

 いいえ     24       48          29    37                     56       58

 わからない   19       25          20    48                      7        29


.リサイクルするためにゴミの分別をしている  e.環境を守るためにライフスタイルをかなり変えた    f.環境問題を考えて、その他のことを行った


 はい      90       59          28    26                 たばこ・ごみなどのぽい捨てをやめた

 いいえ      8        40          58    62                 水や電気を節約している

 わからない   2        1          14     12



質問4は、「今までに、諫早湾干拓事業というものを聞いたことがありますか」という質問に88%の人がはいと答え、諫早湾干拓事業について何を知っているかについて、48%の人が「ムツゴロウの住みかがなくなっている」、12%に人の「海をせき止めたことで、海苔の養殖が被害を受けている」といったようなコメントがあった。質問5の諫早湾干拓事業に対する関心度では、「非常に関心がある」5%、「関心がある」20%、「どちらでもない」51%、「あまり関心がない」20%、「全く関心がない」4%で、その理由として、8%の人が「漁業に深刻な影響を与えているため」という答えを上げていた。質問6の「あなたの住んでいる地域や職場の周りで、何か環境問題はありますか」では、69%の人がはいと答え、51%の人がゴミ処理の問題を取り上げた.。質問7では、諫早湾に限らずもっと大きな規模の「あなたは自然開発についてどう思いますか」とし、「おおいに行うべき」1%、「行うべき」12%、「どちらでもよい」23%、「行うべきではない」58%、「絶対に行うべきではない」6%で、その理由として、22%の「地球温暖化を防ぐため」、9%の「森林伐採を防ぐため」というものがあった。

<考察> 

 質問1の結果を見て、自然に対して同じようなイメージを持っている人が多いということがわかった。多くの人が一様に自然という言葉から、山や森、河川やそこに住む動物といったものをイメージしている。このれらのことは、普段、私たちがそれらのこととかけ離れた場所、つまり都会で生活しているためであろう。また過去に、そういった場所に行き、自然と一体となり、おおいに和んだという経験からであろう。環境問題に関する意識調査を表しているのが、質問23であるが、半数以上の人が環境問題に関心を持っていることがわかる。これは、最近テレビや新聞などで環境のことが多く取り上げられていることや、各自治体によってやり方は異なるが、リサイクルなどが広まったことによって、各個人にも環境問題を身近なこととして感じているあらわれであろう。環境問題の中でもテレビ、新聞に取り上げられることが多い諫早湾干拓事業については、やはり知っている人が多かった。このことは人々の心に環境に対する思いがすこしでもあるというあらわれである。私たちの心に何かを投げかけているのである。そこから少しでも環境について興味を持つ人が増えるとよい。質問31993年と2001年とのデータで数字に違いがあるのには、2001年のアンケート回答者に独身者が多かったこと、アンケートを行った地域がかたよっていること、分別ゴミがあたりまえになり分別をしている人も「いいえ」と答えていることが考えられる。

 質問7で、64%の人が「自然開発を行うべきではない」と答えている。これは本当だろうか。確かに私を含め多くの人は、自然開発によって、これ以上自然が壊されるのを望んでいない。しかし、多くの場合人々は、土地を開拓しそこに大きな自分の家を建てたいと望み、海を埋め立てた後に造られた遊園地に遊びに行ったりと、自然開発によって得られた恩恵を受けている場合があることも事実である。

自然を考えるということは、そこに住む人間、そこに住むほかの生物、そして地球そのものを考えるということである。自然を愛するとはどういうことか、人間、そして他の生物にとって自然とは何か。人間を含む全ての命は平等である。このことが、自然を愛するということであろう。