クロロフィル合成前駆体からプロトクロロフィイドへの転換の測定と阻害剤スクリーニングへの応用

980788 篠原洋二

 

<目的と背景>

植物細胞は暗条件下で、プロトクロロフィリドまで生合成する。プロトクロロフィリドからクロロフィリドへの転換には光が必要で、暗条件下ではプロトクロロフィリドが蓄積する。

本研究では、このプロトクロロフィリド蓄積に注目し、non-chlorophyllous培養細胞を材料に、前駆体の種類を変えてプロトクロロフィリドへの変換を追跡する。一方で、プロトポルフィリン以降のクロロフィル合成側鎖に特有の阻害剤を見出すためのアッセイ系を作ることを試みる。プロトポルフィリン\からプロトクロロフィリドまでの合成は4つの酵素のよって触媒されるが、本研究ではこれまでの個別の酵素の影響を調べていく方法とは別に、作用点(標的酵素)の特定は後にし、できるだけ広い範囲の合成系をカバーするアッセイ系を作り、新規作用点を有する物質の検索に使えるようにする

 

<材料>

Phaseolus vulgaris(えんどう)

non-chlorophyllous培養細胞(ダイズ)

 

<方法>

 培養細胞にプロトクロロフィリド生成の前駆体である、ALA,プロトポルフィリン\、Mg-プロトポルフィリン\を加え、一定時間培養後抽出、HPLCによる定量を行った。また、培養時間、前駆体濃度を変えることで、プロトクロロフィリドの蓄積を計測し、最も効率のよいと思われる方法の検討を行った。

 

<結果、予定>

 前駆体ALAの添加後にプロトクロロフィリドの蓄積は、18時間から24時間の間に最も多くなり、その後は変化しないか、もしくは減少た。プロトポルフィリン\、Mg-プロトポルフィリン\については、検討中である、これについてはフィードバックの可能性が示唆されているため、さらに追加研究を行いたいと思う。

 プロトポルフィリン\からプロトクロロフィリドまでの阻害剤は未だ発見されていないが、阻害剤が示唆されるものは存在しているため、これからはその物質を用い新規阻害剤のスクリーニングが可能な系となり得るかどうか、調べてゆきたいと思う。