オレキシンA mutationマウスの作製
980793 大倉 絵梨
指導教官 桜井 武 先生
<導入>
オレキシンは、オーファン受容体の内因性リガンドとして同定されたペプチドで、摂食中枢に局在している。ラットの脳内にオレキシンを投与するとラットの摂食量は増加するため、オレキシンは摂食行動を制御していると考えられる。オレキシン遺伝子欠損マウスは摂食量が約20%減少する。また、オレキシン欠損マウスはナルコレプシーや、カタプレキシーの症状を呈することから、オレキシンは覚醒状態の維持、レム睡眠の調節にも非常な役割をしていることが明らかにされている。
<目的>
オレキシンにはオレキシンAとオレキシンBの2種類が存在する。この内オレキシンAの役割を調べる為にオレキシンA mutationマウスとオレキシンノックアウトマウスを交配しようと試みた。この為のオレキシンA mutationマウスを作製した。
<方法と結果>
ヒトオレキシン遺伝子の5’上流域3.2 kbのプロモーターを用いて、オレキシンAにmutationを入れたものとプレプロオレキシン全長をつなげ、IRES-EGFPをつないだコンストラクトを用いてトランスジェニックマウスを作製した。
オレキシンA mutationのコンストラクトをinjectionしたマウスのF1に於いて、その発現率を調べた。コンストラクトにはGFPが含まれるので、GFPには一次抗体にGFP抗体、二次抗体にFITC、オレキシンには一次抗体にオレキシン抗体、二次抗体にcy3を用いて二重染色を行い、それにより発現率を調べるという方法を取った。ファウンダーが8匹得られ、全て発現率をみた。Line Lという系統では約25〜30%、Line C2、Mでは20〜35%の発現率を示した。他に5割程度という更に発現率の良いラインを得たので、現在そのラインとノックアウトをかけ合わせて個体を得るという次の段階に入っている。