つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2003) 7: TJB200307NS.

特集:大学説明会

学生生活:授業に関して

瀬戸口 希 (筑波大学 生物学類2年)

 今回の大学説明会には例年よりも多くの方々が集まったようで、会場内は満員御礼といった様子でした。さて、大学説明会に初めて関わる私なのですが、元々人の前に立って話すのが大の苦手であるため、正直言ってあがってしまってうまく喋れなかったと思います。この原稿を書いている今も、壇上に立った時に感じた視線の嵐を覚えています。私に割り当てられた時間はたった5分でしたが、もっと長い時間話していたような気がします。それでも、言葉足らずであった箇所がいくつかあったので、ここにはその部分を付け足した内容を書こうと思います。私が話したのは、大学の授業に関したことでした。

 筑波大学の授業の特徴として、総合大学なので幅広い分野の学類・専門学群があり、希望すれば自分の学類以外のところが開講している授業にも参加できるということがあげられます。生物学類の学生でも、必要条件(必要条件が無い授業もある)さえ満たせば、人間学類の心理学や、社会学類の経済学、フランス語や中国語といった第二外国語、国語 etc.いろいろな授業を履修することができます。例えば私の場合、生物学以外で芸術にも興味があったので、一年生の時にすでに芸術専門学類の授業を一つとりました。大学の時間割は高校の時と違って、自分で自由に組めるので(必修科目は避けることができませんが)自分の専門分野以外でも興味がある授業があれば好きなように時間割に組みこむことが可能です。この他、物理、数学、化学、地球科学といった理科も選択科目となっており、きちんと学ぶことができます。

 次にこの生物学類の授業の特徴ですが、先ほどカリキュラムの説明でもあったように扱っている分野がとても広いということです。生物学に含まれる様々な分野の中から、さらに自分がやりたい専攻を決めるため、一年次にはモ概論モという授業を受けます。これは必修になっていて、高校レベルの生物からより専門的な授業に移るための橋渡しの役割もします。それぞれ、分類学、細胞学、遺伝学、発生学、生化学、生態学、植物生理学、動物生理学の合計8つがあります。それぞれの内容は省きますが、どれも個性的な授業ばかりです。これらの授業を参考にして一年の終わりにコースを選び、2年次にはコースに分かれて専門科目を学びます。筑波大学には教養科目がないので、他大学と違って一年生から自分の専門である生物をしっかり学ぶことが可能です。これも、筑波大の生物学類を選んだメリットとも言えるでしょう。

 二つ目の特徴は、実験・実習が多いことです。一年次には週一で金曜日に基礎生物学実験という実験が入っていて、カエルの解剖からDNAの抽出にいたるまでいろんなジャンルの実験を行います。実験は午後からで、(先程ある先生が、午後からぶっとおしでやると言っていましたが)その日のうちには確実に終わります(あまりに遅くなると事務員さんに文句を言われてしまうため)。だいたい5〜6時くらいにみなさん終了しているみたいです。余談になりますが私の知り合いで変わった人物がいて、実験で使用したカエルを唐揚げにして食べたり、解剖されなかったマウス(ハツカネズミ)を家に持ち帰ってペットにしたりしています。こんなことができるのもここの生物学類ならではだと思います。二年次からの実験は沢山の中から選ぶことができ、私の場合は実験が好きだったので、一学期には週に四日実験をしていました。私が取っていたのは応用生物化学実験というもので、アミノ酸、糖、タンパク質の定量実験や、酵素の性質を調べる実験、ガからフェロモンを抽出してその成分を調べる実験、ダイズにRI(ラジオアイソトープ)を入れてリンの分布を調べる実験などをやりました。実験中は試薬の分量間違えたり、反応時間オーバーしてしまったりといろいろな失敗をしてしまいましたが、失敗する度に何か新しいことを学ぶことができました。また実習についてですが、これは静岡県と長野県にある大学の実験センターで行われます。静岡の下田という所で行われる臨海実習では船に乗って動物や植物を採集したりします。私は、一年生の春休みに植物分類形態学臨海実習というのに参加しました。実習では非常に多くの海藻に接することができましたが、磯にはその他にもアメフラシやヒトデがいて拾って遊んだりもしました。この実習で一番印象に残ったのは、夜光虫を見たことでした。それまで資料集の写真でしか見たことがなかったのですが、暗闇で青く発光する夜光虫は非常にきれいでした。長野の菅平での実習には参加したことが無いのですが、知り合いの先輩から聞いた所、こちらも自然いっぱいで大変充実した実習であるそうです。

 さて次は講義の形式についてなのですが、これは担当する教官によって様々です。教科書を指定してそれに沿って行うものや、プリントを使ったりOHPやパワーポイントを使ったりしたものもあります。そして学期末には必ずテストかレポートの提出があり、これによりABCDの評定がつきます。もしDをとってしまうと単位が出なくなってしまうので、テスト前にはしっかり勉強します。

 あと英語、体育、情報処理が必修になっています。英語は多く場合、3コマある授業のうち1つはネイティブの先生が担当します。授業は、最初から最後まで英語で行われるので聞き取るのは大変でした。先生も最初のうちはゆっくり、はっきりと喋ってくれるのですが、授業が進んでいくと段々早口になって、何言っているのだか分らなくて困ることがよくありました。そして筑波大学には、大学独自で行うモ筑波英検モというものがあり、これに合格しないと英語の単位はもらえません。この筑波英検が行われるのは2月末で、本物の(文部科学省の)英検の時期と重なってしまいます。私も去年、この2つのモ英検モを受けましたが、両方の対策をするのはなかなか大変でした。体育は大学に入ってもまだ存在していて、この大学では種目が選択性になっています。バスケットボールやサッカー、柔道といったお馴染みのスポーツから、ゴルフやアーチェリー、ジャズダンスといったちょっと変わったものまでいろいろな種目が用意されています。情報処理は講義と実習で、講義では簡単なインターネットやコンピューター仕組みなどを学びます。実習の方では、Windowsソフト(Word、Excelなど)の使い方や、メールの送り方、Unixソフトの使い方などを習ったり、自分のホームページを作ったりします。

 以上のことを大学説明会において話しましたが、言い足りないところが多くあって大幅に文章を付けたしました。やはり短い時間中にこの大学の授業について語るのは、私にとって難しかったです。ですが、他の説明をしていた方々のスピーチを聞くことで色々と参考にさせてもらいました。今回の大学説明会は全体的に成功だったと思います。それでは最後まで辛抱強く聞いてくださった方々、このジャーナルを読んでくださった方々、大変ありがとうございました。大学説明会に来てくれた方々、来年キャンパスでお会いできるのを楽しみにしています。

Communicated by Fumiaki Maruo, Received August 1, 2003.

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