つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200407HU.

特集:大学説明会

お勧めの留学制度

漆原 秀子(生物学類国際交流委員長)

 筑波大学生物学類は、イギリスのマンチェスター大学生物科学部(School of Biological Sciences, the University of Manchester)と交換留学の協定を結んでいます。この制度は1999年に始まり、毎年2〜3名の生物学類生が1年間の留学生活を体験しています。マンチェスター大学からも1〜2名筑波大学にやって来ます。大変有意義な制度なので、生物学類の魅力の一つとして覚えておいていただきと思います。ここではその概要を説明します。
 マンチェスター大学は150年の歴史があり(筑波大学は開学30年です!)、3000人の教員と2万人の学生を擁する大きな総合大学で、2000年以上の歴史をもつ、経済・文化・教育・工業の中心都市マンチェスターにあります。生物科学部では、伝統的な生物学の分野に加えて、タンパク質の輸送、細胞接着、細胞運命等の研究、免疫学、神経生物学、さらには生物情報科学とゲノム生物学といった先端生物学の領域まで、幅広くカバーしています(http://www.biomed.man.ac.uk/rgs/default.asp)。20人のノーベル賞受賞学者を輩出していることも特筆すべきでしょう。

 さて、この交換留学制度の主な内容は次のとおりです。

1.3年生または4年生の9月から6月まで1年間の留学
2.留学扱いで、休学は不要(筑波大学に授業料を払う)
3.授業も受講するが、主に研究室に所属し、研究を行う
4.帰国後、筑波大学でも卒業研究を行う
5.学生寮(flat)に入寮できる

 生物学類での留学生選抜は、留学の1年ほど前から始まります。生物学研究に高い意識があり、国際的生物学者を志向する強い意欲があること、期末試験やTOEFLで良い成績をあげていることが選考の基準となります。TOEFLは213点以上が一応の目安です。留学を志す人は、せっせと早めに単位を取っておくこと、英語を目的意識的に勉強しておくことが必要です。

 交換留学制度を利用して留学する場合の大きな特典は、マンチェスター大学の単位を筑波大学の単位に読みかえることができるので、1年間余分に大学生活を送る必要はないということです。もっとも、4年生で留学した場合には、卒業が次の3月になりますので、そういうわけにはいきませんが。さまざまな奨学金制度が用意されているので、普段から気をつけておいて申し込むと良いでしょう。マンチェスター大学での生活は勉学だけでなく、異文化との接触、国際的なコミュニケーション、グローバルな視野、自己変革、と多方面での意義があると考えられます。留学を経験した先輩たちは、例外なく「素晴らしかった。」「また生きたい。」と話しています。
 最後に一つ付け加えておくと、この留学生選抜は、決して難関ではありません。不思議なことですが、どうやら掲示を見逃すケースが多いようなのです。入学時のオリエンテーションで説明があっても、あれこれ新しいことに気をとられているうちに、忘れてしまうのでしょうか。2年生の1学期期末試験突入の頃に、掲示板のかたすみに貼り出される募集案内、実はオススメの留学制度です。お見逃しなく。

Contributed by Hideko Urushihara, Received August 5, 2004.

©2004 筑波大学生物学類