つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200407IN.

特集:大学説明会

学生生活 ―受験―

根岸 一星(生物学類1年)

 筑波大学の前期試験を受ける際の対策で重要なことは、センター試験対策をしっかりとすること、つまり基礎知識をしっかりと身に付けることです。これは入学試験を迎えるにあたって当然しなければならないことですが、実際には、不十分なまま試験に至ってしまう人が数多くいるのです。「そんなこと言っても難関大学に受かっている人はいっぱいいるじゃないか」と思う人がいるかもしれません。確かにそのとおりです。実際、難関大学を受験する人は難しい問題を数多く解かなければならないために、基礎ばかりに時間をかけてはいられないという現実もあります。しかし筑波大学を受験する場合には話が別なのです。

 筑波大学の前期試験の受験科目は英語、数学、生物・化学・物理の中から2科目という3教科4科目構成になっています。そしてこの4つの科目に共通して言えることが、いずれも基礎を重視した問題になっているということです。他大学の入試問題には解くためにある程度の専門的な知識を必要とするものもあります。しかし筑波大学の問題は基礎知識を用いて、自分で考察する問題になっています。よって前期試験で高得点を取るためには、基礎知識をしっかりと身に付けることが必要となるので、センター試験対策の勉強が同時に二次試験対策にもなるということになります。これが上で「筑波大を受験する場合には話が別」とのべた理由です。ここで注意しなければならないのは、既に過去問演習を始められる人が無理に基礎に執着する必要はないということです。基礎をしっかりと理解し、難しい問題を解くことが出来る人は、そのまま演習を続けてください。ここから先は現在伸び悩んでいる人向けの話になります。

 ここで、伸び悩んでいる人が今から基礎の勉強を始めて間に合うのかという疑問が出るかもしれません。この疑問に対する答えは、その人のやり方次第という無責任なものにならざるを得ません。しかし自分に合ったやり方で学習すれば、センター試験までに必ず十分な力が付きます。実際に、夏休み明けに基本的な勉強を始めたところ、センター試験直前には夏休み明け直後に比べ飛躍的な成績の向上が見られました。

 では参考までにどのような勉強をしたのか説明しましょう。数学は主に基本的な問題で構成され、若干難しいものを含む問題集を繰り返し解き、英語は基本的なレベルの文法問題と二次試験レベルの長文読解を中心に勉強しました。化学は苦手で、基礎からやるには分からないところが多過ぎたため、過去問を解き、出来なかった問題を確実に理解するという方法をとりました。生物は教科書や参考書で基本的なことを理解し、その後は過去問の解答と復習を繰り返しました。このようにどの科目も基本的な内容を中心に取り組みました。しかしここで注意しなくてはならないのが数学です。二次試験において数学は基本的な内容ではありますが、他の科目に比べるとやや難しい問題が出題されます。またセンター試験ではTAUBの範囲が出題されるのに対して、二次試験ではVCのみが出題されるので、センター試験後にVCを基本から始めたのでは、さすがに間に合わせるのが難しくなってしまいます。そこでセンター試験前からある程度の学習が必要となります。つまり基本問題をどれだけ早く終わらせて難しい問題を数多く解けるかということとTAUBとVCの学習時間のバランスが数学で高得点を取る鍵になるのです。また、数学の中だけでなく、全体の学習時間のバランスにも注意しなければなりません。英語や数学は問題を数多くこなすことで能力が向上し、接する頻度が低下することですぐに能力が下がってしまう教科です。つまり生物や化学、それとセンター試験以前であれば国語や社会に時間をかけすぎて、英語や数学を解く回数(時間)が少なくなると試験本番に感覚が鈍り、大変な結果を招くことになります。そこでバランスの取れた学習プランが要求されるのです。実際に自分では数学、英語・国語、生物・化学・社会という3つのグループを作り、各グループ一日に一科目のローテーションを組んで学習しました。またセンター試験後はこのローテーションから国語と社会を除いたローテーションで学習しました。

 上で挙げた学習法や学習プランはあくまで参考ですので、自分に合ったものを考えて学習して欲しいのですが、先に述べたように筑波大学の前期試験を受験する場合、センター試験対策の勉強が同時に二次試験対策にもなっているので、このようにしてセンター試験までに基礎をしっかりと身に付けておけば、万が一緊張などでミスをしたり、たまたま苦手な問題が出てしまったりして、センター試験の結果が若干悪くなってしまったとしても、二次試験で挽回できる可能性が出てくるのです。ですから基礎がしっかり身についていると思う場合はセンター試験の結果にとらわれ“すぎず”に勇気を出して筑波大学を受験してみるのもいいと思います。

Communicated by Jun-Ichi Hayashi, Received August , 2004.

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