つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200407ET.

特集:大学説明会

学生生活 ―受験―

江口 友昭(生物学類1年)

 推薦入試の話をします。僕は推薦入試で入学しました。推薦入試は小論文と面接で行われ、小論文は英語と生物の2科目です。英語と生物が得意な人には向いています。僕は英語と生物が受験科目の中では得意な方だったので推薦入試は自分にあっていたと思うし、センター試験や2次試験で多くの科目をこなさなければならない一般入試(前期)に比べ、非常に楽であったと思います。もちろん受験の時は必死でしたけど。面接では自分の言いたいことや筑波大学に入学したい気持ちを直接先生方に伝えることが出来ます。入学意志の強い人は推薦入試の面接というのは入学への大きなチャンスでしょう。

 それでは自分がした推薦入試への対策を体系的に書きたいと思います。

・ 小論文

英語…
 論文のように専門用語が出てくる文章が出題されそうだったので、そのような文章に慣れました。具体的には、動物実験に関する文章、エイズに関する文章、“Nature”誌に掲載された記事(DNAの二重らせん構造発見50周年を記念したもの、抜粋)などを読みました。これらは塾のテキストに載っていたもので日本語訳、解答等はありました。試験本番では直前まで英語の文章を読み、自分の脳が英語を読みやすいようにしていました。
 専門用語には注がつくとは思いますが、本番で論文を初めて読むと慣れてないということでネガティブになるかもしれません。事前にちょっとでも見ておくと免疫がついていいと思います。

生物…
 高校生物を全般的に学習して知識をしっかりとつけ、記述力をつけました。普通の問題集や大学の入試問題(2次試験や私立のもの)をしました。レベルの高い問題を想定して東大の入試問題も何題か解きましたが、去年の推薦入試の問題を見る限りそこまでは必要なかったように思います。推薦入試の出題の仕方は一般の問題と比べ多少違いますが、標準レベルの大学の入試問題が解ければ対応できると思います。
 小論文は「自分の考えを書く問題」というより「普通の記述式の問題」だと思います。入試本番では試験時間の2時間ずっと書き続けた印象があります。集中しましょう。

・ 面接

 面接は15分間で行われ、受験者1人に対して先生方4人でした。すごく緊張しました。
 志望動機、生物学に対する興味、高校生活などについて聞かれました。僕の場合、事前に考えていたこと、言おうとしていたこと(つまり前述の3項目)ばかり聞かれたのでラッキーでした。面接の際、聞かれたことに対してはっきりと正直に答えようと努めました。教授たちに生物に関することは敵わないので、知ったかぶりをしないで知らないことは知らないと答える正直さは大切だと思います。

 以上、推薦入試の推薦(薦め)および対策でした。これだけでは原稿の規定の文字数2000字以上に達しないので推薦入試合格後について書きます。

 推薦入試は11月末に行われ、12月初めには結果が出ます。合格すれば、自分の自由な時間が多く手に入ることになります。このことは考え方によって利点にも欠点にもなると思います。利点はまず受験勉強から早く解放されることでしょう。気分的にかなり楽になります。ウハウハです。たくさん遊ぶことができます。欠点は大学に合格してから入学するまで勉強しないでいると、入学後苦しむことでしょう。僕は英語はまあまあ得意でしたが(と思っていましたが)、合格後あまり勉強してなかったら入学後の英語クラス分けテストで下のクラスになってしまいました。でもちゃんと勉強し続けていれば全く問題ないですね。合格後、僕は運転免許を取ったり、生物学に関する本を読んだりしていました。合格したら時間を有効に使いましょう。

 まだ規定の文字数に達しないので筑波大学生物学類に推薦入学した一人の人間としてこれからの抱負を書きます。

 推薦入試で入った人は前期や後期で入った人に比べ学力が劣っているような噂をときどき聞きます。僕はそんなことは・・・多少はあると思いますが、努力次第でどうにでもなり得ると考えます。皆、大学に入学したということでは共通なのでそれからは個々人の努力で他人と学力の差が開くかどうかが決まるように思います。ですから僕は皆に負けないように勉強していきたいと思っています。大学の勉強は高校までとは違い自主学習が大切と言われています。実際、1年の1学期は授業や宿題やレポートに追われ、それだけで生活が終わってしまうような感じでした。これから自分の好きな分野、専門分野を見つける上で積極的に自分から学習する態度は重要です。今、僕がしようとしていることは、興味ある分野の本を読み、英語を勉強することです。本を読むことで自分が本当に研究したいことは何なのかを発見する手がかりが得られるような気がします。英語は将来、論文等を読む上で必要なツールになるでしょう。

 「さまざまな失敗、逆境からはい上がる経験をすることで自分の個性を思い切り伸ばし、『豊かな人間』になること」。これは学類長が新入生のメッセージとして配ったプリントの引用です。こういうメッセージを受け取るかどうかは自分次第なのですが、僕は『豊かな人間』になることは重要だと思ったのでしっかりと受け取りました。そして今は自分がしたいことは挑戦しようと思います。挑戦しないで後悔するより、挑戦して後悔しようと思います。積極的な姿勢は大切です。推薦入試の話題とずれていると感じられるかもしれませんが、自分の場合、推薦入試自体が積極的な挑戦でした。高校で生物をあまり勉強していなかったし、生物の実験をしたこともありませんでした。生物学を学びたいという意欲だけで臨んだ推薦入試はうまくいきました。多少自信もついたと思います。これからもこういう気持ちを大切に生活していきます。大学生らしい生活をすることを楽しみながら勉強、部活等さまざまなことをがんばっていきたいと思っています。

 筑波大学生物学類の志望者が入学できることと生物学類の発展を心から願います。

Communicated by Jun-Ichi Hayashi, Received August , 2004.

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