つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G000601

化 学     Chemistry

科目番号: G00 0601
単位数: 3 単位
標準履修年次: 1年
実施学期 曜時限: 第2学期 木曜日 5時限、第3学期 木曜日 3,4時限
担当教員: 西尾 建彦、末木 啓介、横山 幸弘


第2学期(担当教員: 西尾 建彦)

授業概要:
 化学が扱う現象は、原子、分子中の電子によって支配されており、原子、分子の電子構造や振る舞いを知ることは、化学や生物を学ぶものにとって不可欠である。本講義では、化学、生物分野の基礎としての「化学結合論」について具体的かつ詳細に解説する。

授業内容:
(1) 化学と電子、分子構造や化学反応を支配する電子
(2) 原子の電子構造、原子軌道の種類、形、エネルギー、性質
(3) イオン結合、イオン化エネルギー、電子親和力
(4) 原子軌道の重なり方、共有結合
(5) 分子軌道、LCAO近似、s軌道の結合、p軌道の結合
(6) 混成軌道、混成軌道の形と方向性、混成軌道と分子の形
(7) 共鳴の概念、共鳴エネルギー
(8) 共有結合のイオン性、電気陰性度、双極子モーメント
(9) 水素結合、静電相互作用、van der Waals 力、疎水性相互作用
(10) 分子間相互作用に基づく蛋白質、核酸の高次構造

前提科目・履修上の注意事項: 特になし

単位取得条件、成績評価基準: 出席および学期末記述試験

指定教科書: 特に指定しない
   
参考書・文献:
化学入門コース「化学の基礎」竹内敬人著(岩波書店)
「初等化学結合論」G.I.Brown著、鳥居泰男訳(培風館)
「原子価と分子構造」E.Cartmell, G.W.A.Fowles著 久保章二訳(丸善)

オフィスアワー:
木曜日 17:00-19:00
自然学系棟 B112(内線6921)

備考(受講学生に望むこと):


第3学期木曜日3時限(担当教員: 末木 啓介)
   
授業概要:
 生体中にはほとんどあらゆる天然元素が必須元素として含まれている。本講義では、まず量子力学に基づく元素の周期律を出来るだけ平易に言及し、主に金属錯体の色や形について解説を行なう。その後、各元素の各論を中心に無機化学分野の講義を行い、元素及び化学物質についての広範な知識を身に付けることを目標とする。時間が許す限り生物無機化学の分野にも言及したい。

授業内容:
(1) 原子
(2) 核外電子
(3) 元素の周期律
(4) 錯体の構造
(5) 錯体の性質
(6) 溶解、酸・塩基
(7) 酸化・還元、配位子置換反応
(8) 典型元素
(9) 遷移元素
(10) 放射性同位体の応用

前提科目・履修上の注意事項: なし

単位取得条件、成績評価基準: 出席と学期末試験の成績により評価する。

指定教科書:
 (一國 雅己「基礎無機化学」裳華房、中原 昭次ほか、「無機化学序説」化学同人)を中心に講義をするが特に定めない。
   
参考書・文献:
今井 弘「生体関連元素の化学」培風館
新村 陽一 「無機化学」朝倉書店 など

オフィスアワー:
木曜日 15時から17時まで; 場所 アイソトープセンター教官室;
TEL 029-853-2512; e-mail ksueki@chem.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと):
教科書に載っていないことについても話をしますので授業に必ず出席してください。


第3学期木曜日4時限(担当教員: 横山 幸弘)
   
授業概要:
 生体内の過程をも含めて、自然界における化学的現象は体系化された化学の基礎理論である物理化学を学ぶことによって理解できることが多い。本講義では物理化学のうち原子構造・分子構造などの構造論(化学結合論)を除く、平衡論および反応論の基礎的理解を目指して、物理化学と予備知識、気体の性質、化学熱力学、相平衡、多成分系の熱力学、化学平衡、電気化学、化学反応速度論に関する基本的概念とその運用方法を解説する。

授業内容:
(1)物理化学と予備知識 
(2)気体の性質 
(3)化学熱力学1 
(4)化学熱力学2 
(5)相平衡 
(6)多成分系の熱力学 
(7)化学平衡 
(8)電気化学 
(9)化学反応論 
(10)補遺

前提科目・履修上の注意事項: なし

単位取得条件、成績評価基準: 期末試験および出席票・レポートを総合評価する。

指定教科書: なし、適宜プリント等を配布する。

参考書・文献:
アトキンス”物理化学要論(第3版)”千原・稲葉訳,東京化学同人(2003)
ムーア”基礎物理化学(上下)”細矢・湯田坂訳,東京化学同人(1986)
バーロー”生命科学のための物理化学”野田訳,東京化学同人(1983)

オフィスアワー:
いつでもどうぞ;場所 分析センター ;Tel 2502 e-mailアドレス:yokoyama@chac.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと):
講義では極めて本質的な解説を行うので、参考書を入手し、講義の前後に読んで内容を深めることを希望する。


©2005 筑波大学生物学類