つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G111011

代 謝 生 理 化 学 I     Metabolism and Physiological Chemistry I

科目番号: G11 1011
単位数: 2単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第1・2学期 水曜日 1時限
担当教員: 白岩 善博、鈴木 石根


第1学期(担当教員: 白岩 善博)

授業概要:
 本講義は,生化学概論および「植物生理学概論」で学んだことを基礎として、最新の情報を加えて「代謝」について論ずる。第1学期においては,植物の基本的特徴である光合成の機能,物質代謝およびそのメカニズムについて詳細に論ずる。「光合成」は,既に確立された学問分野と思われがちであるが,現在でも新たな特徴をもつ光合成生物が発見され,光合成機能の遺伝的転換により新たな環境耐性を有する植物の開発が試みられるなど非常にアクテイブな学問分野である。本講義では, 光エネルギーの獲得およびCO2固定および炭素代謝に焦点を合わせ,種々の反応のしくみとその生理学的意義について多くの新知見を紹介しつつ解説する。

授業内容:
(1)光合成生物とは?−光合成器官の構造と分子構築(しくみの多様性)
(2)光合成系の進化(35億年にわたる生存戦略)
(3)光化学系と電子伝達系-1:光合成色素系(植物の色の役割)
(4)光化学系と電子伝達系-2:H2Oの分解と酸素発生系(水を使うことの長所と短所)
(5)CO2固定系の基本的機構(光合成の基本的な回路や代謝経路)
(6)C3経路の代謝調節(C3植物とは?その長所と短所)
(7)C4経路の機構と調節(C4植物とは?その優位性と劣性)
(8)CAM代謝(砂漠植物の優れた知恵)
(9)光呼吸とC2経路およびその生理学的意義(酸素固定と地球上で生きのびるための巧妙なしくみ)
(10)期 末 試 験

前提科目・履修上の注意事項: 「生化学概論」。

単位取得条件,成績評価基準: 6割以上の出席と期末試験(論述筆記)の成績。

指定教科書:
テイツ・ザイガー「植物生理学」3版L. Taiz, E. Zeiger著,西谷和彦、島崎研一郎 訳,培風館,2004年。

参考書・文献:
1)生物工学基礎コース「植物生理工学」宮地・大森編,丸善,1998年。
2)ストライヤー「生化学」第4版,入江達郎ら訳,東京化学同人,2000年。
3)「植物生化学」H.-W. Heldt著,金井龍二訳,シュプリンガーフェアラーク 東京,2000年。

オフィス・アワー:
月曜日(18-19時)。生物農林学系F棟501(Tel. 853-4668),E-mail: emilhux@biol.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと):
積極的な発言と(質問)と授業評価への参加。


第2学期(担当教員: 白岩 善博、鈴木 石根)

授業概要:
 光合成および呼吸関連の代謝を基礎とし、それらに連なる種々の一次代謝系の構成およびその調節機構について解説する。炭素代謝,窒素代謝および硫黄代謝に関してさらに詳細に解説すると共に,それら代謝系相互の関わり、すなわち代謝系相互の調節機構についても紹介する。また、それら代謝系の環境変動との関わり合いや、二次代謝についてもふれる。
 1〜2学期を通して,エネルギーおよび物質代謝系について,総合的に理解し,それらの生理学的意義や環境の変遷との関わり合いについても深く理解し,物質代謝研究の重要性、意義および今後の研究の発展性について考える機会を提供する。

授業内容:
(1) 光化学系複合体の構造と役割―環境ストレスとの相関
(2) 環境条件の変化と光合成機能(光合成装置の損傷とその回復)
(3) 環境変動に対する代謝調節と環境応答のメカニズム(順化と適応)
(4) 様々な光合成反応(酸素を出さない光合成のしくみ、ほか)
(5) 窒素代謝およびその調節機構(窒素がなければタンパク質は作れない)
(6) 窒素固定とその制御(不足する窒素を空気から得る生き物たち)
(7) 硫黄代謝とリン酸代謝
(8) 炭素代謝と窒素・硫黄・リン酸の代謝の関わり
(9) 特徴的な二次代謝経路-産物とその生合成系
(10) 期 末 試 験

前提科目・履修上の注意事項: 「生化学概論 」「植物生理学概論」

単位取得条件,成績評価基準: 6割以上の出席と期末試験(論述筆記)の成績。

指定教科書:
テイツ・ザイガー「植物生理学」3版L. Taiz, E. Zeiger著,西谷和彦、島崎研一郎 訳,培風館,2004年。

参考書・文献:
1)「植物生化学」H.-W. Heldt著,金井龍二訳,シュプリンガーフェアラーク東京,2000年。
2)生物工学基礎コース「植物生理工学」宮地・大森編,丸善,1998年。
3)ストライヤー「生化学」第4版,入江達郎ら訳,東京化学同人,2000年。

オフィス・アワー:
月曜日(18-19時)。生物農林学系棟F502(Tel. 853-6680),
E-mail: iwanes6803@biol.tsukuba.ac.jp(鈴木)

備考(受講学生に望むこと):
積極的な自習,科学雑誌での関連情報の収集,授業評価への参加。


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