つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G111503

発 生 学 実 験     Embryology,Laboratory

科目番号: G11 1503
単位数: 1.5 単位
標準履修年次: 3年
実施学期 曜時限: 第1学期(後半) 木、金曜日 3,4,5時限
担当教員: 中田 和人


授業概要:
 本実験は正常発生の観察を基礎とし、古典的及び斬新的な実験を通して、発生の本質を捉え、発生学における諸問題を認識していくことを目的としている。正常発生の観察はメダカ、イモリ、ニワトリといった脊椎動物を中心に行う。また、人工受精によって、マウス、タイリクバラタナゴの受精直後の発生も観察する。外部形態の観察だけでなく、内蔵諸器官の重量変化の測定ならびに骨染色による骨化の観察によって、発生に伴う胚の内外の変化を包括的に捉える。さらに、それに同調して胚の構成分子、特に蛋白質が発生段階に特異的に増加・減少することを2次元電気泳動と画像解析によって明らかにする。また、マウスの末梢血と骨髄から塗抹標本を作製し、血球細胞を観察することによって、細胞分化について考察し、ニワトリ胚組織の漿尿膜上培養により発生の運命や決定といった現象を検討する。この他、最近話題となっている実験手法も随時取り入れ、発生現象全般にわたる理解を深め、その中に内在する問題点を把握していく。

授業内容:  
第1回 ニワトリ・イモリ・メダカの発生の観察
第2回 タイリクバラタナゴの人工受精と発生の観察
第3回 マウスの人工受精と生殖細胞の観察
第4回 マウスの発生の観察
第5回 マウス血球細胞の観察
第6回 ニワトリ胚の形態計測・内蔵器官重量測定
第7回 ニワトリ胚の骨染色
第8回 ニワトリ胚の蛋白質の2次元電気泳動・画像解析
第9回 ニワトリ胚の漿尿膜上培養
第10回 まとめ

前提科目・履修上の注意事項:
発生学概論。本実験では自主性を特に尊重している。発生はこちらの都合に合わせて進行してはくれないので、実験計画・時間を自主的に設定できることが望まれる。なお、無脊椎動物(ウニ、ホヤ、カキ等)の発生は動物発生学臨海実習で扱うので、本実験では基本的に対象としない。

単位取得条件、成績評価基準:
実験レポートの内容(方法・結果の記述の正確さ、考察の充実度と適切さ)を中心に、実験への取り組み方(特に自主的計画性)も考慮して、評価を行う。

指定教科書: なし(テキストを配布)。

参考書・文献:
1)発生学実験 石原勝敏編 共立出版
2)脊椎動物の発生 岡田節人編 培風館
3)動物の発生 碓井益雄著 地球社

オフィスアワー:
中田和人;火曜日16〜17時;生物農林学系棟B821;Tel 6694, knakada@sakura.cc.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと):なし


©2005 筑波大学生物学類