つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4 TJB2005G111601

植 物 生 理 学 II    Plant Physiology II

科目番号: G11 1601
単位数: 1単位
標準履修年次 2・3年
実施学期 曜時限: 第3学期 金曜日 1時限
担当教員: 鎌田 博


授業概要:
 植物生理学に関する研究は、基礎研究ばかりでなく、その成果が農業生産や産業に直結していることから、基礎・応用を問わず、最新の技術と知識を駆使して世界中で活発な研究が進められている。本科目では、植物生理学上の重要な問題を取り上げ、最新の成果を織り込みつつ解説する。植物生理学上の問題は多種多様であるが、なかでも、植物独特の反応が数多く含まれている生殖機構、形態形成反応、二次代謝物の合成などを中心に解説する。また、近年の分子生物学的解析法の進歩にともなって、植物の生理現象が分子のレベルで解析され、遺伝子組換え(トランスジェニック)植物を用いた遺伝子の機能解明も活発に進められていることから、植物分子生物学の最近の研究事例もあわせて解説する。一方、根粒菌や各種植物病原菌などに関する研究の成果は、植物の生理反応を理解するために重要な情報を数多く提供してきたばかりでなく、植物への遺伝子導入法の開発など、植物生理学の進歩に果たしてきた役割には極めて大きなものがある。そこで、植物の生理反応を正しく理解するとともに、今後の研究動向の理解の一助とするために、植物病原菌を中心とする研究の現状についても解説する。

授業内容:
(1)植物の受精と胚発生 I.重複受精と単為結果
(2)植物の受精と胚発生 II.雄性不稔性と不和合性
(3)植物の受精と胚発生 III.種子胚発生
(4)植物の形態形成反応 I.花芽形成とホメオティック突然変異体
(5)植物の形態形成反応 II.不定根形成、不定芽形成及び不定胚形成
(6)植物の分子生物学  I.遺伝子組換えと遺伝子発現の調節機構
(7)植物の分子生物学  II.植物ホルモンを中心とする情報伝達機構
(8)植物二次代謝物質の生合成系及び形態分化と機能分化の相関
(9)植物病原菌に対する植物の反応
(10)まとめと討論

前提科目・履修上の注意事項: 植物生理学Iを事前に履修しておくことが望ましい。

単位取得条件、成績評価基準:
学期末に提示する課題に関するレポートを中心に、出席状況、授業における取り組み等も考慮して、A−Dの4段階評価をする。レポートにおいては、課題に対する基礎的な知識と理解を十分に踏まえた上で、課題の内容が自分の頭でよく検討されており、その構成や内容に自分の関心や努力が反映されたような論理的なレポートを高く評価する。教科書や参考書をただ書き移しただけのような、自己不在のレポートの評価は極めて低い。

指定教科書: 特に無い。

参考書・文献: 
1)植物遺伝情報の変換(高橋万衛門監修)秀潤社 
2)植物全能性の分子生物学(駒嶺穆編)朝倉書店 
3)菜の花からのたより(日向康吉著)裳華房

オフィスアワー:
金曜日 18時から19時まで;遺伝子実験センター4階教官研究室;Tel 029-853-4674 E-mailhkamada@sakura.cc.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと): 自分で論理的に考えることを学んで欲しい。


©2005 筑波大学生物学類