つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4 TJB2005G114403

動 物 発 生 学 臨 海 実 習     Laboratory in Marine Animal Embryology

科目番号: G11 4403
単位数: 1.5 単位
標準履修年次: 3年
実施学期 曜時限: 第1学期 集中 [下田]
担当教員: 齊藤 康典


授業概要:
 発生学の実験材料としては,脊椎動物ではカエルやイモリが多く用いられるが,無脊椎動物ではウニが最も重要なものであろう。特に受精や卵割などの初期発生の問題の研究に最適の材料といえる。我が国では,実験に用いることのできるウニの種類が多く,産卵期もそれぞれ異なり,それぞれの卵に特徴があるので,目的により,また季節により,種類を選んで実験することができる。本実習ではムラサキウニを用いて発生学入門の第一歩とも言える正常発生を学び,さらに,受精と初期発生に関するいくつかの基礎的実験を行う。また,ゴカイ,カキ,ホヤなどの海産無脊椎動物の受精と初期発生の観察を通して,受精及び初期発生の様式の多様性についても学ぶ。ウニをはじめ海産無脊椎動物の卵や精子の取り扱い方になれることは,将来他の動物の実験にも役立つものと思われる。

授業内容:
(実習はグループ単位で行う)
第1日 ガイダンス
第2日 ウニの人工受精とウニ卵の正常発生の観察。
第3日 ウニ卵の人工処女生殖実験。
第4日と第5日 選択及び自由テーマでの実験
 1.ウニ卵のメロゴニー(卵片発生)実験。
 2.ウニ卵の動物極化と植物極化実験。
 3.ウニの染色体の観察。
 4.ヤッコカンザシゴカイの人工授精と初期発生の観察。
 5.ケガキ,マガキの人工授精と初期発生の観察。
 6.ベニボヤの人工授精と初期発生の観察。
以上の実験から一つ以上を選択して実験を行う。また,学生の発想による上記以外の実験も奨励している。
第6日 実験結果の発表と討論。

前提科目・履修上の注意事項:
参加人数に制限(約30名)があるので,受講希望者が多数の場合は抽選を行う。なお,実習に先立ち,ガイダンスを6月初旬に行う(日時は掲示する)。このガイダンスは受講申請の確認の意味もあり,欠席者の受講は原則として認めない。欠員が生じた場合,抽選の補欠から優先的に補充するので,補欠の学生もガイダンスに参加することをすすめる。

単位取得条件,成績評価基準: 
成績は実習態度とレポートによって評価する。

指定教科書: 教科書は指定せず,テキストを受講者に配布する。

参考書・文献:
1)「動物の発生」 碓井益雄著,地球社
2)「海産無脊椎動物の発生実験」 石川優・沼宮内隆晴編,培風館
3) UP Biology 「受精」 椙山正雄著,東京大学出版会

オフィス・アワー:
齊藤の研究室は、筑波キャンパス生物農林学系棟B507(пF853-2587)と下田臨海実験センター第2研究室(пF0558-23-6358)です。筑波と下田を頻繁に行き来していますので、事前に電話かE-mail(saito@kurofune.shimoda.tsukuba.ac.jp)でコンタクトしてください。

備考(受講学生に望むこと): 特になし


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