つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4 TJB2005G220601

ウ イ ル ス 学     Virology

科目番号: G22 0601  
単位数: 1単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第2学期 水曜日 1時限
担当教員: 永田 恭介


授業概要:
 ウイルスは、遺伝子という化学物質を自分の殻の中に担い、感染した細胞内でのみ増殖できる寄生体である。ウイルスは、宿主となる細胞のさまざまな機能と相互作用しながら、増殖や潜在化を起こす。ウイルス増殖は子孫ウイルスを効率良く生産する過程であり、その結果細胞の障害や個体に病気を引き起こす。ウイルスの潜在化は慢性疾患や細胞の癌化などを引き起こすこともある。従ってウイルス学の本義は、ウイルスの増殖機構を明らかにし、ウイルスによってもたらされる疾病を制御することにある。一方、ウイルス学はウイルスが相互作用する生物を理解するための格好の窓口を提供しており、基礎生命科学の進歩に多大な貢献をし続けているとともに、新たなテクノロジーをも生みだしている。 本講義では、ウイルス増殖とウイルス病原性の分子機構を理解し、ウイルス学から見える生物学や新たなバイオテクノロジーについて考える。

授業内容:
(1)序論、宿主細胞とウイルス
(2)原核細胞とファージ
(3)ゲノム複製の分子生物学-1
(4)ゲノム複製の分子生物学-2
(5)遺伝子発現の分子生物学-1
(6)遺伝子発現の分子生物学-2
(7)ウイルスの増殖と病原性
(8)細胞増殖/癌化とウイルス
(9)生体防御システムとウイルス病の制御
(10)ウイルス工学と遺伝子治療

前提科目・履修上の注意事項:
微生物学や分子遺伝学に関する基礎知識を習得して履修すると分かりやすい。

単位取得条件、成績評価基準:
学期末試験あるいはレポートにより評価を行うが、出席状況も加味する。

指定教科書: 特になし。

参考書・文献:
1)「ウイルスの生物学」永田恭介 羊土社 1996年
2)「生命科学を推進する分子ウイルス学」蛋白質・核酸・酵素 37巻14号 共立出版 1992年
3)「Principles of virology」S. J. Flintら編 ASM PRESS 2000年

オフィース・アワー:
随時、ただしあらかじめ電話等で問い合わせること;場所、医学専門学群学群棟3F-4A322; 電話、内線 3233
e-mail, knagata@md.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと): 活発な議論を希望する。


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