つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G220801

人 類 学     Physical Anthropology

科目番号: G22 0801  
単位数: 2単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第2学期 金曜日 3,4時限
担当教員: 足立 和隆、野口 淳夫


授業概要:
 人類学は、文化人類学(Cultural anthropology)と自然人類学(Physical anthropology)とに分けられるが、本講義では後者を概説する。自然人類学とは、ひとことで説明すると「ヒトを対象とした生物学」であり、ヒトの自然史を進化と変異の両面から明らかにすることを目的とする。自然人類学では、かつては化石の採集とその巨視的な形態の分析が主流であったが、近年では、飛躍的に進歩した生命現象を分子レベルで解析する方法もかなり取り入れられ、多くの成果をあげるようになってきた。  1〜8回では、自然人類学の成立史と関連諸科学との関係について述べ、つぎに伝統的な自然人類学の立場から、霊長類としてのヒトの位置とその進化について、発掘化石を中心に古生物学や比較解剖学的なアプローチに基づいた最近の論議をとり上げる。さらに、日本人の起源、ヒトの身体構造、機能、行動の特性とその適応論的解釈などにふれる。   9,10回では、分子的アプローチが、霊長類の分野、人種分類にどのように応用されているかについて学習する。さらに、進化理論の中心的位置を占める中立説とはどのようなものなのかについても知見を広げる。

授業内容:
(1)自然人類学とは−守備範囲と歴史
(2)ヒトの体の構造−運動器の力学的適応
(3)ヒトの発生−精子と卵の出会い
(4)進化の古生物学的アプローチ(その1)−哺乳類から霊長類へ
(5)進化の古生物学的アプローチ(その2)−中新世ホミノイドとヒト科の先駆者
(6)猿人−ape-manか、man-apeか
(7)ヒトの特性−二足性から核家族まで
(8)日本人の起源−どこからきてどこにいくのか
(9)霊長類の分類の分子的アプローチ−DNA解析技術とその応用
(10) 進化の分子的アプローチ−中立説とは

前提科目・履修上の注意事項:
原則として形態学概論、動物分類学概論、細胞学概論、遺伝学概論を履修していること。

単位取得条件、成績評価基準: レポートによる

指定教科書: なし

参考書・文献:
1)ここまでわかった人類の起源と進化(R.ルーウィン著、保志 宏訳)てらぺいあ
2)分子進化遺伝学(根井正和著)培風館

オフィース・アワー:
(足立和隆)金曜日、午後4時半以降(体育科学系A623、TEL:2682)  E-mail:adachi@taiiku.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと): 活発な議論を希望する。


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