つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G230201

生 物 活 性 化 学     Chemistry of Bioactive Substances

科目番号: G23 0201  
単位数: 1単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第1学期 月曜日 1時限
担当教員: 鈴木 隆久


授業概要:
 農薬化学を中心に、殺虫剤について主として生化学的作用機構から解説する。天然の毒成分が虫を殺す農薬として使用されるようになり、この成分を手本としてより殺虫活性の強い安全な化合物群が開発された。例えば、除虫菊の殺虫成分であるピレスロイド類は野外で不安定であるため、専ら家庭用の殺虫剤として利用されてきたが、天然成分と全く異なるのに同じ作用機構で高い活性を示す新規な化合物が合成され、安価でかつ野外でも安定な農薬として現在、使用されている。一方、昆虫などの生物はどのようなメカニズムで農薬に対する抵抗性を獲得するのかという疑問も解明されつつある。害虫防除に従来の農薬を使わない、あるいは極力減らす新しい防除(総合防除)も進展してきている。これらの点についても併せて解説する。

授業内容:
(1) 農薬とは、農薬の活性と毒性、ダイオキシンについて
(2) 殺虫剤の分類、作用機構
(3) 殺虫剤の作用機構
(4) 殺虫剤の代謝
(5) 殺虫剤の選択毒性と昆虫の抵抗性
(6) 有機リン剤とカーバメート系殺虫剤
(7) ピレスロイド、ニコチノイド及びネオニコチノイド系殺虫剤
(8) 新しい害虫防除法(フェロモン剤、誘引剤)
(9)    〃   (昆虫成長制御剤、Insect growth regulators = IGR)
(10)    〃   (放射線不妊化法、生物農薬、有用遺伝子導入植物)

前提科目・履修上の注意事項: 一年次に有機化学を履修していることが望ましい。

単位取得条件、成績評価基準: 学期末試験と出席状況で評価する。

指定教科書: プリントを配布する。

参考書・文献: 
1) 農薬の化学(山下恭平他5名共著)、文永堂
2) 新農薬学概論(本田 博他3名共著)、朝倉書店
3) 農薬の生理作用(鈴木直治著)、南江堂
4) 天敵の生態学(桐谷圭治、志賀正和編)、東海大出版
5) 性フェロモンと害虫防除(中村和雄、玉木佳男著)、古今書院
6) 農薬要覧(日本植物防疫協会)(年刊)
7) 農薬ハンドブック(日本植物防疫協会)(年刊)
8) 最新農薬の規制・基準値便覧(日本植物防疫協会)

オフィス・アワー: 
火曜日と木曜日の15時から18時まで; 場所 生農棟 B114 e-mail: tksuzuki@agbi.tsukuba.ac.jp (Tel 6629)

備考(受講学生に望むこと):


©2005 筑波大学生物学類