つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4 TJB2005G306111

分 類 学 概 論     Introduction to Taxonomy

科目番号: G30 6111  
単位数: 1単位
標準履修年次: 1年
実施学期 曜時限: 第2学期 水曜日 1時限
担当教員:  井上  勲、徳増 征二、町田龍一郎


授業概要
 植物、菌類、動物の構造と分類および系統進化の基礎を概説する。分類学はそれ自体が40億年にもおよぶ生物進化の歴史を明らかにするという最終目標をもつと同時に、生物学のすべての分野で研究対象となる生物についての情報を提供するという役割を担っている。そこで最初に分類ということの意味やしくみと、生物の命名規約という国際的な約束事について概説する。
 植物の分類体系は混沌としており、未だに共通の理解は必ずしも得られていない。しかし、植物が複数の起源をもつ生物の集まりであり、それらの共生により光合成生物が多様化した視点に立てば、植物の体系や多様性を統一的に理解できる。このような視点から光合成生物、すなわち植物の系統と分類体系を学び、植物が陸上進出にともなって獲得した特徴についても説明する。
 菌類は光合成生物とは異なる独自の生活を営む真核生物である。その形態や生活の様式、そして分類体系についても学ぶ。
 動物は100万種をこえる種が知られている、多様な生物群である。その系統進化に関しては、さまざまな立場からいろいろの推定がなされている。ここでは現在最も妥当と考えられる体系に従って、主要な動物門の特徴、グルーピングを概説し、動物の体制、分類、系統進化についての基礎的知識を提供する。

授業内容
(1) 生物分類の基礎、国際命名規約、分類階級について
(2) 植物の起源
(3) 植物の多様化のしくみ
(4) 植物の生活環と陸上植物の進化
(5) 被子植物の分類、植物と動物の共進化
(6) 菌類という生物群と動物、植物との関係
(7) 動物の分類体系の枠組みと「原生動物」
(8) 多細胞動物・後生動物の起源・体制・系統
(9) 無体腔類・擬体腔類の起源・体制・系統
(10) 真体腔類の起源・体制・系統
(11) 期末試験

前提科目・履修上の注意事項

単位取得条件、成績評価基準: 学期末の論述試験による。出席点も加味する。

指定教科書: 特に指定しない。プリントを配布。

参考書・文献
1)植物系統分類の基礎  山岸高旺編  北隆館
2)植物と菌の系統と進化  西田誠編  放送大学教材
3)植物と菌の系統と分類  岩槻邦男編 日本放送出版協会
4)バイオディバーシティー・シリーズ1 生物の種多様性, 同2 植物の多様性と系統,同5 無脊椎動物の多様性と系統  裳華房
5)動物系統分類の基礎  内田亨  北隆館
6)動物系統分類学 全10巻・21冊  中山書店

オフィス・アワー
井上:生農棟B504 随時(事前連絡が望ましい:内線6655,iinouye@sakura.cc.tsukuba.ac.jp)
徳増:生農棟B708・菅平高原実験センター (事前連絡が望ましい:0268-74-2002,tokumasu@sugadaira.tsukuba.ac.jp)
町田:生農棟B405(事前連絡が望ましい:内線4910,machida@sugadaira.tsukuba.ac.jp)

備考(受講学生に望むこと)
講義中は一生懸命理解するように努力し、遠慮なく質問すること。遅刻は厳禁、講義とは最初から通して聞いて初めて分かるものです。


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