つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2007) 6: TJB200707YN.

特集:リメディアル教育

「生物学(リメディアル)」試行を終えて

仲里 友一(筑波大学附属駒場中高等学校 生物科教諭)

 現生命環境学群長の林純一先生から、「高校生物未履修者を対象とした補習授業をやってみないか」とのお誘いを昨年12月に受けた。考えた末、「生物学(リメディアル)」の講師をお引き受けした。私は遺伝学・分子遺伝学分野を担当し、勤務校の授業で用いるスライドをもとに、この「生物学(リメディアル)」バージョンを新たに組み立てた。特に、基礎的な内容ではあるが教科書では触れられていない部分や説明不足になっている部分、大学の生物学の授業を聞く上で役に立つ発展的な内容(高校生物と大学生物の橋渡しになる内容)に配慮した。

 授業をして実感したことは、多くの学生達が真剣に授業に臨んでくれたことだ。第1回目の授業時に挙手で確認したところ、54名中17名が高校時代に生物学を全く履修していない(理科総合B、生物I、生物II のいずれも未履修)という。彼らは、中学時代の理科第2分野の知識だけで大学の生物の授業に臨んでいるわけで、相当な苦労だろうと察した。恐らく自習でカバーできる限度を超えているのではないだろうか。土曜日の午前・午後にわたる長丁場の授業を合計4日間、単位認定されるわけでもないのに真面目に出席してくれた学生達を、OBとしても本気で応援したくなった。また、高校生物未履修問題の深刻さ、高校生物のリメディアル教育の必要性を痛感した。授業後に実施したアンケートも読ませて頂いた。資料の作成方法、化学的な内容の取り扱いなど、今後の授業改善のための多くを学生達からフィードバックしてもらえたことにも感謝したい。(2007年7月)

2007年1学期にリメディアル教育の試行として「生物」が実施された(編集部註)。


Communicated by Shinobu Satoh, Received July 29, 2007.

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