1, 2. Dinophysis acuminata. 生細胞. 下田沖 (2010.5.17). Scale bar = 20 µm (1, 2 共通).
渦鞭毛植物門 渦鞭毛藻綱 ディノフィシス目 ディノフィシス科
Dinophysis acuminata Claparéde & Lachmann 1859
Synonym: Dinophysis borealis Paulsen 1949; Dinophysis lachmanii Paulsen 1949; Dinophysis boehmi Paulsen 1949; Dinophysis skagii Paulsen 1949; Dinophysis lachmanii Solum 1962

単細胞遊泳性。細胞は卵形〜楕円形で左右に扁平、大きさ 40-60 X 30-40 µm。細胞前端に前後を翼片で囲まれた横溝がある。前方翼片は前後長が長く、盃状、底部の幅は細胞幅の1/2-1/3程度。後方翼片は前後長が短く、縦溝に沿って後方へ伸び、縦溝左縁翼片と縦溝右縁翼片になる。縦溝左縁翼片は縦溝右縁翼片より長く、ほぼ一定の幅で後方へ伸び、長さは体長の1/2-2/3程度。縦溝左縁翼片には3本の肋がある。縦溝右縁翼片は短く長三角形。本邦産の個体では細胞後端は丸みを帯び滑らかだが、まれに1〜数個のいぼ状突起がある。鎧板表面には小さな窪みが密生する。 赤褐色の葉緑体をもつ。この葉緑体様構造はクリプト藻起源であることが知られており(Takishita et al. 2002, Hackett et al. 2003)、おそらく盗葉緑体。おそらく混合栄養性。

本種は下痢性貝中毒 (Diarrhetic Shellfish Poisoning; DSP) の原因であるオカダ酸(okadaic acid)を生成することで知られている。非常に低密度(200 cells/L)でも毒性を示すことがあるが、毒性を示さない地域もある。

世界中に広く分布し、特に温帯域に多い。本邦沿岸域ではふつうに見られる。

参考文献 References