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脊索動物の進化
〜脊索の獲得から脊椎動物への進化まで〜

 <骨、軟骨の進化>
顎をもつ脊椎動物は、コラーゲン繊維に富む軟骨を獲得して、体の支持組織として使ってきました。それに対して、顎をもたないヤツメウナギは、コラーゲン繊維があまり含まれない特殊な軟骨をもっています。また、無脊椎動物であるナメクジウオにも、非コラーゲン性の軟骨様組織が鰓や外触手に見られます。特に、外触手の軟骨は、軟骨基質の中に細胞が埋まっており、脊椎動物の軟骨とよく似ています。これらヤツメウナギやナメクジウオに見られる軟骨が、脊椎動物の軟骨や骨と進化的にどのような関係にあるか(進化的な起源かどうか)について、研究しています。遺伝子重複やドメインシャッフリングによる新しい遺伝子の創成が不可欠であったことなどがわかってきています。最近、ナメクジウオの外触手が再生することを発見し、ナメクジウオの軟骨様組織の形成プロセスを研究できるようになりました。

<神経堤細胞の進化>
脊椎動物の複雑な頭部、顔面構造の進化は、神経堤細胞の進化なくしては、起こりえません。この神経堤細胞の起源を、ホヤやナメクジウオに探っています。脊椎動物の神経堤細胞の形成に必要な遺伝子Sox9やFoxD3, Dlxなどは全て神経堤細胞をもたないホヤやナメクジウオにも見られます。これらの遺伝子のどういう機能的な側面が足らないために、ホヤやナメクジウオでは神経堤細胞がないのか、ニワトリ胚に遺伝子を導入するなどして研究しています。

<脊椎骨の進化>
顎をもたないヤツメウナギでは、脊椎骨がほとんど発達せず、幼生期には全く見られません。その意味で、ヤツメウナギは、ナメクジウオのような原始的な体制から、脊椎骨型へと変態する、まさに進化の歴史の中間段階をとどめている動物といえます。顎をもつ脊椎動物では、沿軸中胚葉、体節と呼ばれる構造の腹側に生じる硬節の細胞が、脊椎骨を形成します。ヤツメウナギの沿軸中胚葉はどのような種類の細胞を生み出すのか、変態期にそれらの細胞が、どのように再編成されて脊椎骨を形成するかについて研究しています。

<咽頭弓の進化>
脊椎動物の特徴の一つとして、咽頭に神経堤細胞が流れ込み、そこで複雑な骨格構造を作ることも挙げられます。ヤツメウナギでは、咽頭弓の骨格が関節を作らず、顎を形成することができないと考えられています。しかし、ヤツメウナギの咽頭弓の骨格がどのように形成されるかは、よくわかっていません。顎の進化に関しても進化の中間段階のような様子が見られるのか、なぜ顎を形成することができないのかについて、ヤツメウナギの咽頭弓骨格の形成を調べることでアプローチしています。また、脊椎骨形成に関わるPax1とPax9の咽頭の軟骨形成に関する機能についても研究しています。