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鞭毛(Flagellum,複数 Flagella)

鞭毛は,円形に配列した9つの2連の微小管 (ダブレット:doublets)と2本の単体の中心微小管 (central pair) からなる軸糸 (axoneme) で構成されています。いわゆる9+2構造です。真核生物に特有の構造で,ほとんどの真核生物に存在します。多くの生物では精子や遊走子の鞭毛や繊毛として出現します。ヒトでは精子の鞭毛や気管支の繊毛がそれです。

藻類では,鞭毛は原核の藻類(藍色植物原核緑色植物)と紅色植物を除くすべてに存在します。軸糸からなる基本構造は藻類においても基本的に変わるところはありません。しかし,藻類では9+2構造以外に,分類群に特徴的なさまざまな鞭毛の修飾構造がみられ,これらは高次の分類群でほぼ共通であることから分類上重要な形質とみとめられています。










緑色藻類
いわゆるムチ型の鞭毛で最も普通
先端は先細りのものが多い

プラシノ
藻類
先端は鈍く円い。全体に4角形,5角形のダイアモンド鱗片,その上に属によって異なる2層,3層鱗片のほか,毛状の鱗片が左右2列に伸びる

黄色
植物
2列の管状マスチゴネマによって特徴づけられる,いわゆる羽型鞭毛。推進力を生じる前鞭毛に特有。

渦鞭毛
植物
横鞭毛は軸糸がstriated strandによって懸垂されている

ユーグレナ
植物
片羽鞭毛とよばれるものだが,構造は管状マスチゴネマと異なり,推進力を逆転する力はない。鞭毛の軸糸に沿ってパラキシアル・ロッドが伸びる。

ハプト藻
パブロバ類
顆粒が鞭毛表面に付着している