緑藻綱 画像データ

ボルボックス目 Vlvocales
クロロコックム目 Chlorococcales
ヨコワミドロ目 Sphaeropleales
サヤミドロ目 Oedogoniales
ケートフォラ目 Chaetopholales


ここでいう緑藻綱は1984年Stewart and Mattoxによって定義されたもので,緑色植物の項目で説明されたように,細胞のもつさまざまな性質,特に鞭毛装置と細胞分裂の様式によって特徴づけられるものである。

古くから緑藻綱は陸上植物とシャジクモを除くすべての真核緑色藻類を含むものとして扱われてきた。たとえば,アオサ,アオノリやカサノリなどの緑色の海藻やアオミドロ,ツヅミモなどの淡水産の緑色藻類も緑藻綱のメンバーとして扱われてきた。しかし,現在では,これらはそれぞれアオサ藻綱,シャジク藻綱として緑藻綱とは区別して扱われるのが普通である。

緑藻綱は次のような性質でまとめられる。

鞭毛装置は大部分が時計回り配列(clockwise orientation),一部は直線型配列(directry opposed orientation)である
核分裂は閉鎖型である
紡錘体は終期崩壊型(collapsing interzonal spindle)である
細胞質分裂にファイコプラスト(phycoplast)が関与する
細胞は裸または細胞壁に包まれる
栄養体は単相で,接合子は休眠する
ほとんどは淡水に生息する

直線型配列の鞭毛装置は群体性の体制をもつクンショウモ(Pediastrum)やアミミドロ(Hydrodictyon)などの仲間に見られるが,これらはファイコプラスト用いた細胞分裂を行うなど緑藻綱としての性質をもっている。


緑藻綱内部の系統は必ずしも充分に解明されていない。次の分類系はMelkonian(1990)によるものである。
デュナリエラ目
Dunaliellales
従来「裸のクラミドモナス」と認識されていたポリブレファリデス科(Polyblepharidaceae)は異なる生物群の集まりであることが明らかになってきた。好塩性の緑藻のデュナリエラ(Dunaliella)Asteromonasがこの目に属する。デュナリエラはβ-カロチンを生産するためにの養殖され産業化されている。
クラミドモナス目
Chlamydomonadales
 
ボルボックス目
Volvocales
 
ヨツメモ目
Tetrasporales
 
クロロコックム目
Chlorococcales
 
クロロサルシナ目
Chlorosarcinales
 
ヨコワミドロ目
Sphaeropleales
 
ミクロスポラ目
Microsporales
 
サヤミドロ目
Oedogoniales
 
シリンドロカプサ目
Cylindrocapsales
 
キートフォラ目
Chaetophorales
 


トレボキシア藻綱 Trebouxiophyceae

緑色藻類のうち,アオサ藻綱の藻類と同様に反時計回りの鞭毛装置ともつが,一方ではファイコプラストをもつ仲間がある。 淡水に生息するPleurastrum, Microthamnionなどの藻類がこれにあたる。プラシノ藻のTetraselmisも同様な性質を持つことから同じ仲間と考えられ,これらをまとめてMicrothamnialesあるいはPleurostrophyceaeと呼ばれる分類群が提唱されていた。しかし,最近の分子系統の研究から,これらの藻類のうち,プラシノ藻を除くグループは地衣類を構成する共生藻の代表的な属であるTrebouxiaや一部のクロレラ (Chlorella)を含む大きな系統群であり,時計回り・直線型鞭毛装置をもつ緑藻綱と姉妹群の関係にあることが分かってきた。