灰色植物 画像データ


灰色植物は淡水に生息する不動(Glaucocystis nidlans)または遊泳性(Cyanophora paradoxa)の単細胞生物で,細胞内に一般にcyanelle(シアネレ)とよばれる共生体をもつことが最大の特徴としてあげられます。シアネレは2枚の膜に包まれた葉緑体に類似した構造で,2枚の膜の間には細胞壁の名残りと目されている多糖からなる構造があります。このことからシアネレは藍藻のような原核光合成生物が共生したものと考えられています。 Cyanophora paradoxaのシアネレの葉緑体遺伝子についての研究から,ゲノムサイズは藍藻に比べてはるかに小さく, 葉緑体に近いこと,また主要な遺伝子の配列も葉緑体に似ていることがわかっています。たとえば,多くの植物,藻類の葉緑体DNAと同様に,シアネレもIR (inverted repeat)をもっています。一方,tRNA遺伝子の性質は藍藻に類似しており,中間的な性質を示しています。このように,シアネレは共生原核藻類から葉緑体への移行のしくみを探るうえで貴重な生物といえます この藻群は鞭毛装置にMLS(多層構造体)をもつことから,緑色藻類とのつながりも示唆されており,この点からも,植物の系統を考えていく上で注目すべき生物です。