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性行動突然変異体platonicの解析

徐 金華、薄井一恵、竹下 綾、山元大輔

(科学技術振興事業団・山元行動進化プロジェクト)


 我々はエンハンサートラップ法と行動観察法を組み合わせ、性行動突然変異体platonic(plt)を分離した。platonicの雄は雌に対し盛んに求愛を行うが、なかなか交尾に至らず、野生型同士と比べ、交尾率が極端に低かった。platonicのもうひとつの表現型としてL5翅脈の短縮が観察された。P因子を切り出し、得られたrevertantでは交尾率は野生型とほぼ同程度になり、L5翅脈 の表現型も完全に回復していた。このことからplatonic突然変異はP因子の挿入によるものと推定された。さらに、tamou、canoe、tkv、Hairless、Notchなどの変異体を用い、これらの遺伝子とplatonicの関係を検討した。

 プラスミドレスキュー法で回収したゲノム断片をプローブに利用し、genomic libraryをスクリーニングしてchromosome walkingを行い、P因子挿入点近傍の約30kbのゲノムDNAをクローニングした。ゲノムプローブを用いたdevelopment Northern blotでは野生型において数種類の転写産物が発現しているが、platonicでは一連の転写産物が欠失している。これらの転写産物はplatonic locus由来と考えられる。cDNAの一部が既にクローニングでき、全長cDNAのクローニングを目指してcDNA walkingを行っている。