P-38


Dual Tagging Gene Trap

粟野若枝、Tamas Lukacsovich、Zoltan Asztalos、馬場浩太郎、山元大輔

(科学技術振興事業団・山元行動進化プロジェクト)


 我々は、プロモーター領域を持たないGal4遺伝子を5'側に、polyA部分を持たないwhite遺伝子を3'側に連結させ、これをP因子ベクターに挿入した。このベクターを用いて、2段階スクリーニングによるジーントラップを試みた。ホストの遺伝子のプロモーター下にP因子挿入が生じた場合にのみGal4が発現し、一方挿入white遺伝子は、ホストの遺伝子のpolyA付加シグナルが利用できる場合にのみ発現することが期待される。まず、P因子の再転移法による突然変異体の作出を単独の雄100匹から行った。作出された系統のF2世代で3'側のwhite遺伝子の発現による眼の色の変化によって、一次スクリーニングを行った。ここでwhite遺伝子の発現が強い系統を7系統と、中程度の発現の系統を10系統樹立した。次に、二次スクリーニングを5'側のGal4遺伝子の発現の有無で行った。この際、Gal4遺伝子の発現は、Gal4/UAS-レポーター遺伝子のシステムを利用して検出した。レポーター遺伝子にはルシフェラーゼを用い、Gal4遺伝子の発現をルシフェラーゼ活性として測定し判定することを試みた。測定により4系統からGal4遺伝子の発現があると思われる結果が得られた。一次・二次スクリーニングより得られた系統について、組織レベルと遺伝子レベルでの解析を進め、以下の検討を行った。(1)ルシフェラーゼ活性の測定によるGal4遺伝子の発現のスクリーニング法。(2)Gal4遺伝子の発現とwhite遺伝子の発現の相関性。(3)ジーントラップが成立した可能性とこのベクターの有用性。今回は、まだ一部解析中ではあるが、現在までに得られた結果について発表する。