P-59


ショウジョウバエ気管融合の解析

亦勝−田中実穂、林茂生

(総合研究大学院大学、遺伝学研究所)


 ショウジョウバエの気管系は、管状に配列した上皮細胞のネットワークである。我々は気管上皮の融合において、転写調節因子Escargot が細胞接着分子DE-cadherin の発現調節と先端細胞の運動制御に関与することをすでに報告した(Tanaka-Matakatsu, M. et al., 1996, Development 122: 3697-3705)。現在、気管上皮の融合に必要な細胞メカニズムを明らかにするため研究を行っている。以前の細胞学的な詳細な観察より、融合する気管の枝の先端細胞は、融合過程を通じて細胞のapical側に局在するDE-cadherin のパターンを変化させること、先端細胞間の融合が完了するとapicalマーカーのCrumbsが新たに局在することなどから、先端細胞のapical-basal 極性が融合過程において劇的に変化することを見出している。

 これら細胞極性の変化について、

1. 気管細胞分裂の時の細胞軸

2. Microtubule 上のmotor protein で、プラス端に向かって移動するKinesin、マイナス端に移動する Nod 各々のlacZ fusion protein の細胞内の局在パターン を利用して、解析を行っている。

以上のことに関して、最近得られた結果を紹介します。

 また、先端細胞の細胞運動性の亢進におけるesg、DSRF、pointed の関係についても紹介する。