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シナプス伝達に異常を持つ突然変異体MY7919の原因遺伝子の発現

高須(石川)悦子1、吉原基二郎2、城所良明2、堀田凱樹1

(1: 東大・理・物理、2: 群大・医・行動生理)


 エンハンサートラップ系統MY7919は、第2染色体59EへのP因子挿入により引き起こされた劣性半致死の突然変異体で、レポーター遺伝子の発現が運動ニューロンに見られる。電気生理学的に解析したところ、ホモ接合体ではシナプス前の運動ニューロンから放出される伝達物質の量子数が減っていることと、シナプス後部の筋細胞側の単一チャンネル電流もわずかに減少していることが解った。

 このような異常がどのような分子の異常によって引き起こされているのかを調べるため、まずP因子挿入近傍の断片をプローブとしてゲノムライブラリーから隣接領域をクローニングした。次にこの領域中の断片をプローブとしてin situ hybridization を行ない、シグナルの出た断片をプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングし、得られたcDNAのアミノ酸配列を決めたところ、既知の遺伝子とは相同性が見つからない新規なタンパク質をコードする遺伝子であることが明らかになった。

 さらにノザンブロット解析から、この遺伝子は成虫期に2.8kbのmRNAを発現していること、および胚期には2.8kbの他に第1エクソンの異なる2.6kbのmRNAも発現していることが判った。5'RACE法でそれぞれのmRNAの第1エクソン部分のcDNAをクローニングしたので、それぞれの発現について検討したい。