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A subset of gap junctions between photoreceptor terminals is eliminated in the shaking-B2 mutant of Drosophila.

下東 美樹1、I. A. Meinertzhagen2

(1: 福岡大・理・生物、2: Life Sciences Centre, Dalhousie University, Halifax, Canada)


 昆虫のgap juctionの分子構造は脊椎動物のそれとは異なっており、ショウジョウバエでは shaking B 遺伝子がチャネルタンパク質をコードしていると考えられる。ハエでは、複眼から中枢への最初のニューロパイル(ラミナ)の cartridge のなかで、隣接する視細胞の終末が gap junction を形成することが知られている。突然変異体shaking B2 のラミナの gap junction の発現頻度を電子顕微鏡で調べた結果、次の知見を得た。

 gap junction のチャネルタンパク質を通常の電顕法で観察することは困難であり、フリーズフラクチャー法でもその頻度を定量することは不可能なので、通常はglia 細胞で隔てられている視細胞の細胞膜同志が隣接する頻度を測定した。ラミナの層を深さにより3層に分けて、野生型と突然変異型の比較を行った。視細胞の細胞膜が隣接する頻度は、野生型では遠位層、中間層で1cartridge, 1section あたり0.5であったが、近位層では約1/4に減少していた。突然変異型 shaking B2 では、野生型に比べて、遠位層、中間層では約1/4に減少していたが、近位層では有意の差はなかった。6タイプの視細胞(R1-6)の間に有意の差はなかった。また観察した細胞膜隣接像のサイズには、野生型と突然変異型の間に有意の差はなかった。従って、突然変異shaking B2は視細胞の終末(R1-6)が 形成するgap junction を遠位層と中間層で選択的に減少させていると結論された。すなわち、複眼視細胞がラミナで形成するgap junctionには少なくとも2つのタイプがあることが推察された。