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ショウジョウバエ及び出芽酵母で保存された新規細胞周期遺伝子の解析

杉山伸、三井真司、西田育巧

(名大・理・生命理学)


 我々はMAPKシグナル伝達系に関わる新規細胞周期因子Gp99をショウジョウバエで同定し、解析してきたが遺伝子配列を決定したにも関わらずその生化学的作用機作は不明である。そこで単細胞生物の方が細胞周期因子の解析に適していることからその出芽酵母ホモログを解析した。出芽酵母の4つのGp99ホモログ(Sc1,2,3,4)にはハエGp99と共通の約150アミノ酸の相同領域がみられ、機能ドメインだと期待される。

 ハエGp99と最も相同性が高いSc1の遺伝子を破壊したところ、細胞周期がG1期に停止し、細胞周期に関する機能がハエ-酵母間で進化的に保存されていることが判明した。現在はSc1と遺伝的相互作用する因子を同定することで生化学的作用機作を解明するためにSc1破壊株のmultiple copy suppressorを検索すると共に、Sc1の表現型の解析を容易にするために温度感受性突然変異の作出を試みている。さらにハエGp99もしくはSc1相同ドメインをハエ相同ドメインと交換したSc1遺伝子によりSc1破壊株が相補されるか否かを検定し、相補される場合はハエGp99の温度感受性突然変異を酵母で検索し、ショウジョウバエの温度感受性突然変異系統を作出する計画である。