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翅脈のパターンに異常を生じる突然変異plexusの解析

亦勝和1、2、田所竜介2,3、蒲生寿美子1、林茂生2

(1: 大阪府立大・総科、2: 遺伝研、3: 北里大・理)


 ショウジョウバエの翅は翅脈によって一定のパターンに区切られている。翅脈の形成は成虫原基でのシグナル分子による位置情報の確立、そして翅脈の細胞の分化を誘導するEGF receptor, N, Dlを含むシグナル伝達系によって支配されており、パターン形成を理解する上でよいモデルを与える。

 そこで私たちは翅脈のパターンに異常を生じる突然変異plexus(px)を解析している。hobo因子を用いたenhancer trap lineのスクリーニングから過剰な翅脈を生じるhb246系統を得た。マッピング、相補性検定の結果から既知の突然変異px座位に突然変異を生じたことが明らかになった。三齢幼虫のwing discで将来翅脈になる細胞で発現するrhoは翅脈の形成で重要な役割を担っている。そこでpxとrhoの相互作用について調べると、px突然変異体のwing discではrhoの発現は本来発現しない領域まで広がる。rhoが異所的に発現した領域とpx突然変異体で過剰に翅脈を生じる領域は一致する。またrho, pxの二重突然変異ではpxの表現型は抑制される。よってpxの機能はrhoの発現を抑える効果があると予想される。すでにhobo因子の挿入部位付近をクローニングしており現在転写物の同定を行っているので併せて報告したい。