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HNF-33/fork head domain を持つ遺伝子HP126の解析

杉村勇、安達卓、西田育巧

(名大・理・生物)


 HP126はrough eye、翅脈の欠損、過剰剛毛などの表現型を示す突然変異体であり、null alleleは胚期致死となる。

 HP126遺伝子は、110アミノ酸にわたりHNF-3/fork head DNA binding domainと高い相同性を持つことから、転写因子と考えられ、whn(nude mouse の遺伝子)と最も高い相同性を示しDNA binding domain においてアミノ酸で約80%の相同性を示す。

 Hp126遺伝子は、embryoでは細胞性胞胚期から全ての体細胞で発現し始め、後に神経系の細胞及び生殖巣のみでの発現へと移行する。eye disc ではmorphogenetic furrow の前端部及び後半部全体で発現を示すが、R8でやや強い発現を示す。

 Hp126突然変異体では、成虫で個眼の融合及びinter ommatidial bristle の欠損がみられる。個々の個眼において特定のphotoreceptor cellの異常はみられなかったが、3齢幼虫期のeye discでは初期から個眼のspacing 及びcluster formation に異常が見られることからHP126のrough eye phenotype の主因は個眼形成の初期の異常に起因するものと思われる。

 またこの遺伝子を、強制発現させることにより、過剰のphotoreceptor cell、翅脈、剛毛が誘導される。現在これらの表現型に着目して解析を行っている。