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jumonji 変異体表現型のマウス系統による分離と心臓形成異常の解析

竹内 隆、北島 健二、小島 瑞代

(三菱化学生命科学研究所)


 jumonji (jmj) 遺伝子はマウス遺伝子トラップ法により新規に同定された核蛋白遺伝子である。129/OlaとBALB/cとの雑種において解析されたマウス変異体は胎生10.5-15.5日の間に死亡し、また、その一部は神経管や心臓の形成異常を示した。このように致死時期が胎生の長期にわたること及び神経管形成などの表現型が部分的なpenetranceを示すことはこれらの表現型がマウス系統間の遺伝的背景の影響を受けていることを示唆する。このことの確認と混在する表現型を分離し詳細に解析できる系統の樹立を目的にjmj変異をいくつかのマウス近交系系統に導入した。その結果、BALB/c, C57BL/6, DBA/2系統では、ほぼすべての変異体が胎生15.5日付近で死亡し、かつ神経管形成は正常であった。また、この系統群では肝臓形成異常が認められた(BALB/c系統については、元山、竹内、第28回本大会発表)。一方、C3H/He系統ではほぼすべての変異体が胎生11.5日付近で死亡し、かつ神経管と心臓の形成異常を示した。以上の結果から雑種系統で混在して出現した複数の表現型を2種類のマウス系統群に分離することに成功した。本発表では以上の結果及び心臓形成異常についてのC3H/He系統を用いた解析結果を報告したい。