植物は動物とどう違うか

岡田清孝  (京大・植物)


 とんでもないタイトルですが、「(発生生物学の対象としての)植物は動物とどう違うか」について考えていただく叩き台として議論に参加したいと考えています。植物と動物は同じ遺伝情報システムを持っているにもかかわらず、大きく異なった「体制」をとっています。体軸の構成、体節形成、器官形成、組織分化、生殖システム、などの「体制の基本システム」について比較すると、様々な現象面での相違に気付きます。これらの相違の因となっているのは、細胞系譜、細胞分裂、細胞移動、プラグラム細胞死、細胞間シグナル伝達、などといった「素過程」の同異です。現在は、これらの「細胞レベルの素過程」を支配する「分子」について、ようやく同じ土俵で話すことができるようになったと思います。植物と動物の比較評論に終わらず、実験研究者のテーマとして継続した議論になることを希望しています。