筑波大学 / 生命環境科学研究科(生命環境学群)/ 生物科学専攻(生物学類)/ 進化遺伝学教室 / 澤村京一研究室

University of Tsukuba 進化遺伝学教室 


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学生募集


我々の研究室ではショウジョウバエを材料として生物進化、特に種分化に力を注いで研究しています。我々の行っている実験はシンプルなものです。例えば、形態や行動の観察、個体数のカウントなどです。したがって、初心者でも実験の手順と意義をよく理解して研究することができます。地道な実験に真摯に取組むことができ、生物進化について豊かな発想を有する学生を歓迎します。研究室見学やセミナー見学の予約は、電子メールにて研究室代表者(澤村)にお申し込みください。


研究テーマの例


研究テーマは無数にありますが、その中から卒研生向けのものをふたつ挙げておきます。以下の他にも、雑種由来で新しい種が出現したり、同所的に生息する二種間で形質の強化が起こるなど、ショウジョウバエの世界ではおもしろい現象がたくさん知られています。ぜひ当研究室を訪問して、ディスカッションをしてみてください。

(1)キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)とオナジショウジョウバエ(D. simulans)は、見た目がそっくりな種です(昆虫マニアは隠蔽種といったりします)。よく見ると、複眼の大きさや雄交尾器(ゲニタリア)の大きさが異なります。日本では果物で誘引すると、両種とも集まってきます。(両種の野外における生態は異なっているかもしれませんが)同じ土地で同じ食べ物に群がることがあるにも関わらず、この二種が混ざり合ってしまわないのは「隔離」があるからです。例えば両種は、求愛歌や求愛ダンスが異なっており交尾がほとんど成立しないこと、交尾できても雑種が健康に育たないことが知られています。キイロショウジョウバエの遺伝学はよく発展しており、両種が混ざらない原因を遺伝子レベルで特定することが可能です。この研究のキーワードは、交配前隔離と交配後隔離です。
交配前隔離を調べるには、ハエの求愛行動を観察する実験を行います。雄と雌の成虫をシャーレなどに入れて、翅によるディスプレイの回数を記録したり、求愛歌を録音するなどの方法があります。性選択や動物行動学に関心のある学生にオススメのテーマです。交配後隔離を調べるには、ハエを交配して生まれてくる次世代の頭数をカウントして分離比を調査したり、雑種をつくってその特徴を観察するなどの方法があります。こういった交配実験はブリーダー気質の学生にオススメです。

(2)カオジロショウジョウバエは、顔に光を反射する部分がある変わった昆虫です。カオジロショウジョウバエのなかまには、見た目がそっくりな四種(Drosophila auraria, D. biauraria, D. triauraria, D. subauraria)がいると言われており、これらは日本のいたるところに生息しています。これらは実験室でかんたんに雑種をつくることができますが、野外で雑種個体が発見されることはほとんどありません。どうしてこれらの種は混ざり合ってしまわないのでしょうか。もしかしたら、野外での分布が互いに異なっているのかもしれません。また、求愛行動を行う場所の環境が交尾の成功に影響しているのかもしれません。謎に包まれたカオジロショウジョウバエ類を調べることで、種分化を起こす形質や遺伝子が特定できたらおもしろいですね。この研究のキーワードは、生殖的隔離、地理的隔離、同所的種分化、異所的種分化などです。
野外でどのような隔離が存在するのかを調べるには、フィールドに出て観察と採集を行う必要があります。そして、生態的な特徴を記述したり、標本を同定・整理して各種の分布を明らかにするなどの方法があります。これは虫採り少年タイプの学生にオススメのテーマです。


予備知識


我々の学問分野を楽しむための予備知識として、下記の本を読んでおくとよいでしょう。

「遺伝学」澤村京一(2005)サイエンス社
「ショウジョウバエの遺伝実習」森脇大五郎(1979)培風館
「遺伝学ノート」森脇大五郎(1988)学会出版センター
「集団の遺伝」大羽滋(1977)東京大学出版会
「集団の進化」北川修(1991)東京大学出版会
「集団・行動遺伝学研究法」大島長造編(1983)共立出版株式会社
「進化学事典」日本進化学会編(2012)共立出版 ←16, 18, 19, 20, 22, 23, 28章
「エッセンシャル遺伝学」Hartl and Jones / 監訳: 布山喜章 石和貞夫(2005)培風館 ←2, 3, 4, 7, 11, 12, 14, 15章
「進化 ― 分子・個体・生態系」Barton, Briggs, Eisen, Goldstein and Patel / 監訳: 宮田隆 星山大介(2009)メディカル・サイエンス・インターナショナル


進学情報


大学生として当研究室に所属するためには、筑波大学 生命環境学群 生物学類に入学し、三年生において所属研究室希望調査で澤村京一研究室を選択し、四年生で卒業研究を履修する方法があります。三年生での研究室選択に際しては、あらかじめ受入れ教員とよく話し合っておく必要があります。大学院生として当研究室に所属するためには二通りの方法があります。ひとつは、筑波大学 生命環境科学研究科 生物科学専攻 の博士前期課程か博士後期課程に入学する方法です。もうひとつは、筑波大学 教育研究科 教科教育専攻 の理科教育コース(修士課程)に入学する方法です。大学院受験に際しては、願書提出以前に受入れ教員とよく話し合っておく必要があります。履修方法および受験方法や組織名は年々変更されますので、自己責任で最新の情報を入手し、手続きを正しく行う必要があります。



文責

この「学生募集」のページは、2015年9月17日時点での情報に基づいて新井健太が執筆し、研究室代表者の許可を得て公開したものです。文責は新井健太にあります。