Penicillium funiculosum由来のβ-Xylosidaseと
α-Arabinofranosidaseの精製
柏崎 みどり 指導教官: 鈴木 隆久
【目的】 トウモロコシ種皮のキシランは、1→4-β-D-キシラン主鎖にアラビノース、グルクロン酸が結合した構造である。このキシランを完全に加水分解するには、β-キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ、α-グルクロニダーゼが必要である。
Penicillium funiculosum 由来の市販酵素製剤であるセルラーゼ(Sigma、C0901)は、β-キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ活性を含んでいる。そこで本研究は、β-キシロシダーゼとα-アラビノフラノシダーゼを精製し、これらの酵素の諸性質を明らかにすることを試みた。
【方法】 酵素粉末を酢酸緩衝液に溶解し、粗酵素液とした。β-キシロシダーゼは、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q-Sepharose FF)、密度勾配等電点分離法、HPLC(カラム:Superdex 200PG)で精製した。酵素活性は、pNP-グリコシドを基質とし、遊離した pNP を吸光度400nmで測定した。また、酵素の純度検定は、SDS-PAGEで行った。
【結果】 陰イオン交換カラムに粗酵素液を通したところ、非吸着部にα-アラビノフラノシダーゼが集中し、吸着部のβ-キシロシダーゼは、塩化ナトリウムの濃度勾配により二つのピークに分かれて溶出された。β-キシロシダーゼ活性の約14%を占めるピークをX-氈A約50%を占めるピークをX-とした。X-を密度勾配等電点分離法、及びHPLCでさらに精製を行った結果、SDS-PAGE(銀染色)で一本のバンドが検出され、これは単一酵素タンパクとみなしうる段階にまで精製された。酵素の回収率は約29%であり、比活性は約59倍に精製された(Table)。一方、α-アラビノフラノシダーゼについては、陰イオン交換クロマトグラフィーの後、疎水クロマトグラフィー(硫安25%飽和)で不要なタンパクを除去することができた。現在は、次の精製ステップを検討しているところである。
Table. Purification of β- Xylosidase (X-) from Penicillium funiculosum
Steps | Total activity (U) | Total protein (mg) | Specific activity (U/mg) | Recovery (%) | Purification (-fold) |
Crude enzyme | 185.3 | 1200 | 0.15 | 100 | 1 |
Q-Sepharose | 92.1 | 29.9 | 3.1 | 50 | 21 |
Dencity gradient | 42.1 | 1.8 | 23.4 | 23 | 156 |
Isoelectoric separation Superdex 200PG | 53.0 | 0.9 | 58.9 | 29 | 393 |