佐藤 香奈子 指導教官:坂内 四郎
[背景と目的]
酸素(O2)を必要とする生物では細胞内外において常に活性酸素種(
[方法]
Northern blot による解析により、組織におけるxCT mRNA の発現量が非常に少ないことがわかってきたので、Nortern blot よりも検出感度がよいとされるRNase Protection Assay を用いてxCTと4F2hcのmRNAの検出を行った。
8週令のマウスの組織から抽出したtotal RNAとxCT、4F2hcそれぞれの32P-labeled RNA probe とを14時間Hybridizeさせた後、RNaseによってハイブリしなかったRNAを分解し、電気泳動にかけてバンドをオートラジオグラフィーで検出した。
[結果と考察]
RNase Protection AssayによりxCTのmRNAが検出できた組織は、大脳、小脳、胎盤(E14)、精巣、骨髄、胸腺、脾臓、肺であった。特に大脳、小脳、胸腺では強いシグナルが検出できた。一方でmRNAの検出ができなかった組織は、肝臓、膵臓、心臓、腎臓であった。4F2hcのmRNAは今回対象としたすべての組織においてその発現が確認できた。以上の結果より、xCTのmRNAが発現している組織、すなわちxc-系の活性が発現しているであろう組織は血球系(リンパ系)の組織や生殖系の組織、また酸素消費量の多い脳や高い濃度の酸素に接する肺であることがわかった。これらの組織におけるxc-系の発現はグルタチオンレベルの維持に寄与しており、酸化ストレスに対する一種の防御機構を確立していると考えられる。
今回は正常組織においてxCT mRNAの存在を調べたが、xc-系が生体内における抗酸化機構に重要な働きを担っていると予想されるので、in vivo でより多くの活性酸素が発生する系、例えば炎症などにおいてxCTの発現がみられるか検討していきたい。