人間と動物の関係について
西川祐喜 指導教官:ダリル メイサー
「目的」 人間にとって、動物は、ペットやパートナーとして、人々の食糧として、又普段の生活に限らず、生態系の一部として、医学や科学の研究対象としてなど、実に様々な面で大きく関わり合っている存在である。言い換えれば、人間と動物は、切り離すことのできない関係であるともいえる。生物学的には、人間も動物である。本研究では、「動物(人間以外)にも心はあるのか」という問題提起から、日常生活における人々の動物に対する意識を調査し、得られた結果からより深く人間と動物について考察していくことを目的とした。
「方法」 アンケートを作成し、小学2年生、4年生、6年生、中学生、高校生、一般の各年齢層に分けて配った。小学生については、先生方に依頼し、他の年齢に関しては直接自分で一人一人配った。内容は、小学生でも答えられるようにできる限り簡単なものとした。質問は、「動物を飼っているか」「飼いたいと思うか」「動物にも[こころ]があるか」をはい、いいえで回答し、「サル・イヌ・ネコ・ウシ・トリ・サカナ・バッタ・ゴキブリを好き、嫌い、どちらでもないにわけ、どの動物に[こころ]があるか」について回答してもらった。また、それぞれの質問で、理由も回答してもらった。
「結果及び考察」アンケートは、小2(36人)、小4(27人)、小6(32人)、中学(32人)、高校(32人)、一般(21人)、計180人の回答が得られた。「動物を飼いたいと思うか」の質問に対して、はい64%、いいえ36%となり、はいの理由として最も多かったのが(かわいい)といった容姿に関するもので、逆に(面倒、お金がかかる)などがいいえの理由であった。「動物にも[こころ]が・・」の質問に対して、95%と高い割合で(ある)と答え、理由として(いきているから、感情があるから、人間と同じ)というコメントが多かった。
また、年齢が高くなるにつれて、[こころ]に関するコメントも増え、([こころ]の定義が難しいためわからない)という回答も得られた。「どの動物・・」についての結果は、次の通りである。
% |
さる |
いぬ |
ねこ |
うし |
とり |
さかな |
ばった |
ごきぶり |
無記入 |
12.2 |
2.8 |
7.6 |
9.4 |
10.6 |
8.9 |
9.4 |
1.1 |
好き |
17.8 |
76.7 |
57.6 |
21.7 |
50 |
43.9 |
7.8 |
0 |
きらい |
18.9 |
8.3 |
15.7 |
21.1 |
8.3 |
8.9 |
35.6 |
83.3 |
どちらでもない |
51.1 |
12.2 |
19.2 |
47.8 |
31.1 |
38.3 |
47.2 |
15.6 |
[こころ]はない |
17.6 |
5.7 |
20.3 |
32.4 |
27.8 |
42 |
53.4 |
53.4 |
ある |
82.4 |
94.3 |
79.7 |
67.6 |
72.2 |
58 |
46.6 |
46.6 |
これらの結果から、全ての人が、どの動物にも[こころ]がある、と答えているわけではなく、ペットとして飼っているものや哺乳動物に対して(ある)と答えている。さかなに関して言えば好きな理由が、食糧として好きという回答が多くみられた。当たり前のことかもしれないが、人間が動物を考えるときそれぞれの動物に対して役割をきめている。切り離すことのできない関係である以上仕方ないことであるが、今後の研究として、これらの結果を基に、[こころ]の定義とあわせて動物に対するヒエラルヒーの問題や、動物の権利について検討を進めていきたい。