ORI−GENEを用いた細胞性粘菌cDNA ライブラリーの解析
花輪 崇 指導教官 田仲 可昌
[背景]
現在あらゆる生物種でゲノムDNAあるいはcDNAの解析が進められている。その結果、大量の塩基配列データ、アミノ酸配列データが蓄積している。それらのデータは、コンピューター上でデータベースとして管理され、インターネットなどのネットワークを介して利用可能となっている。今後の課題として、これらのデータからいかに情報を抽出するかに焦点が当てられる。計算機を利用した情報学的手法はその1つの大きな鍵として期待されている。そのような新たな解析ツールの1つとして、我々の研究室の水野は「ORI−GENE」を開発した。これを用いることで、ある遺伝子についての相同性検索の結果を利用することで、それに類似する遺伝子がどのような生物種で見いだされるかを判別しその分布パターンを進化系統樹上に提示し、その分布パターンに基づいて遺伝子を分類することが可能になる。これを利用することで、その遺伝子の進化についての知見を得ることができる。今回、私は我々の研究室で進行中の細胞性粘菌cDNAプロジェクトで得られた全遺伝子を、このORI−GENEで解析した。本発表ではその結果について報告する。
[方法]
1)細胞性粘菌cDNAプロジェクトで得られた全遺伝子(14486クローンのうち5563グループ)を相同性検索(BLAST)にかけ、その結果をORI−GENEを用いて解析し、遺伝子をその起源ごとに分類した。
2)また、粘菌の遺伝子を、機能分類されている酵母(S.cerevisiae)の遺伝子とをall-against-allで相同性検索にかけ、その結果からBEST−HIT法を用いて粘菌の遺伝子の機能分類を行った。
[今後の展開]
方法1)・2)から、起源・機能ごとに遺伝子を分類することができる。この結果を利用することで、遺伝子の機能と起源の関係、細胞性粘菌の細胞特有の機能、そしてその機能を担う遺伝子の起源について考察する
。[関連ホームページ]
細胞性粘菌cDNAプロジェクト
http://www.csm.biol.tsukuba.ac.jp/cDNAproject.html
酵母機能分類表
http://www.mips.biochem.mpg.de/proj/yeast/catalogue/funcat/index.html
ORI−GENEのダウンロード
http://www.rtc.riken.go.jp/jouhou/ORI-GENE