新奇のCOP气Tブユニット様タンパク質の構造と機能

      二ツ森 睦美        指導教官 中山 和久

【目的】

 真核細胞において、粗面小胞体で合成された分泌タンパク質はゴルジ装置、トランスゴルジ ネットワーク(TGN)を経て分泌される。この分泌経路における各オルガネラ間のタンパク質 輸送は輸送小胞を介して行われる。輸送小胞の表面は特異的なコートタンパク質複合体で覆わ れているが、近年いくつかのコートタンパク質複合体の実体や機能が明らかになってきた。  コートタンパク質複合体の一つであるCOP气Rートタンパク質は七つのサブユニット(α、 β、β’、γ、δ、ε、ζ)からなる複合体であり、ゴルジ体から小胞体への逆行輸送に関与 していると考えられる。最近、当研究室でこのCOP泄。合体のうち、γ-COPに相同性を示す タンパク質をコードするcDNAをクローニングし、既知のものをγ1-COP、新奇のものをγ2 -COPと命名した。  そこで、本研究では新奇のγ2-COPについて細胞内における局在と機能を明らかにすること を目的とした。

【方法】

1)細胞内局在の解析  γ1-COP、γ2-COPのcDNAをHAタグのついた動物細胞発現用のベクターに組み込み、ラッ ト肝細胞(Clone 9)に形質導入し、発現させた。HAを特異的に認識する抗体を用いた蛍光抗体 法により細胞内局在を調べた。また、薬剤処理を行いγ1-COP、γ2-COPの局在の変化を調べ た。

2)積み荷タンパク質(p23)との相互作用の解析  積み荷タンパク質であるp23の細胞質領域とGSTとの融合タンパク質を精製した。このGST 融合タンパク質とγ1-COP、γ2-COP を発現させたClone 9細胞の抽出液を用いてpull down assay を行った。

【結果と考察】

 蛍光抗体法によりγ2-COPはゴルジ体に局在することがわかった。また、γ1-COPとγ2 -COPの薬剤処理による影響の違いを比較したが、違いはみられなかった。  pull down assayにより、γ1-COPと同様にγ2-COPもp23に結合することがわかった。 p23にはCOP氓ェ認識して結合するモチーフが二つあるが、そのモチーフに変異を導入した ものを作製しγ2-COPがどのモチーフと相互作用しているのかを解析していく予定である。  また、γ2-COPがCOP气^ンパク質複合体の他のどのサブユニットと結合しているのかを 調べるために酵母のtwo-hybrid systemや免疫沈殿法を行っていく予定である。


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