つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2003) 2, 76     (C) 2003 筑波大学生物学類

グラム陽性菌のタンパク質発現系の構築

鈴木 郁美 (筑波大学 生物学類 4年)  指導教官:小林 達彦 (筑波大学 応用生物化学系)


【目的】

 今日、有用物質生産菌として放線菌は工業的に広く利用されている。本研究室で使用されているニトリル分解放線菌においていは強力な転写活性をもつ誘導型プロモーターがニトリル分解酵素の大量発現に関与している。本研究は、この誘導型発現系が他のグラム陽性菌で幅広く機能しうることを検討し、実際の有用物質の生産への応用を目的とする。      

 

【方法】

1.    サブクローニング、形質転換

 誘導型ニトリル分解酵素の発現を調節する遺伝子領域を大腸菌、グラム陽性菌のoriを持つシャトルベクターに導入した。抗生物質耐性、コロニーPCRにより目的の位置に遺伝子領域が挿入されたことを確かめた。構築したベクターはエレクトロポーレション法により宿主グラム陽性菌へ導入された。

 

2.    レポーター遺伝子の発現、活性測定

 本誘導系がグラム陽性菌において機能するかどうかをニトリル分解酵素の発現および活性を指標として調べた。ニトリル分解酵素の発現はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により発現確認し、本酵素の活性測定は高速液体クロマトグラフィーにより行った。

 

【結果】

 誘導剤を培地に添加してもニトリル分解酵素の発現はみられなかったが、今後レポーター遺伝子を変えていくことで実験を進めていく予定である。