つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3, 85-86   (C)2004 筑波大学生物学類

酵 素 化 学     Enzyme Chemistry

科目番号: G23 0601 
単位数: 2 単位
標準履修年次:  2・3年
実施学期 曜時限: 第1・2学期 木曜日 2時限
担当教官: 谷本 啓司


第1学期(担当教官: 谷本 啓司)

授業概要:
 生物における化学反応は、すべてタンパク質である酵素の働きによって行われている。生体内での化学反応は、有機化学反応と比較して温和な条件下(常温・常圧・中性 pH など)で行われているが、酵素は、高い基質特異性・高い反応性と言う特性を生かして、生化学反応を効率的に触媒している。本学期は、酵素の組成・構造、酵素の精製法、酵素反応論から酵素の調節機構まで、酵素化学の基礎について平易に解説する。

授業内容: 
(1) 授業計画の説明など  酵素とは(歴史的背景)
(2) 酵素の一般的性質  酵素(タンパク質)の構造(I)
(3) 酵素(タンパク質)の構造(II)  酵素の組成・構造(複合酵素、補助因子など)
(4) 酵素の命名と分類  酵素反応速度論 I(ミカエリス定数)
(5) 酵素反応速度論 II(Km, V の求め方)  酵素反応速度論 III(酵素の阻害:拮抗阻害、非拮抗阻害、不拮抗阻害)
(6) 酵素反応速度論 IV(基質が複数の場合の反応様式)
(7) 酵素の精製 I(抽出→精製、一般的精製法)  酵素の精製 II(クローニング)
(8) 酵素の反応機構(活性中心、触媒機構)
(9) 酵素反応の調節(アロステリック酵素、フィードバック阻害)
(10) 酵素合成の調節(遺伝子発現レベルでの調節)

前提科目・履修上の注意事項:
特にないが、生化学、微生物学の基礎知識を有していることが望ましい。

単位取得条件、成績評価基準:
学期末試験により評価するが、授業への取り組み姿勢、出席状況も考慮する。

指定教科書: なし。プリントを配布。

参考書・文献:
1)酵素の科学(大西正健著・学会出版センター)
2)酵素の科学(藤本大三郎著/裳華房)
3)酵素のABC(中村隆雄著・学会出版センター)
4)酵素のはなし(中村隆雄・学会出版センター)

オフィスアワー: 水曜日 午後3時〜午後5時(事前に連絡して下さい)

備考(受講学生に望むこと):


第2学期(担当教官: 谷本 啓司)

授業概要:
 高い基質特異性を有し、温和な条件下で高い反応性を示す酵素は、古くから食品、あるいは医学といった様々な分野で利用され、我々の生活に役だっている。特に、極限環境微生物に由来する酵素は、ふつうの生物の酵素と比べて高い安定性を有しているため、より広汎な分野への応用が期待されている。また、遺伝子組換え技術と多くの微生物でのゲノム解析の進展に伴って、新しい機能を持った酵素を選択したり、さらには人工的にデザインすることすら可能になりつつある。本学期はこのような酵素の応用について、具体的事例を紹介しつつ解説・展望する。 

授業内容:
(1) 1学期試験問題解説 2学期授業計画
(2) 酵素の応用 I
(3) 酵素の応用 II
(4) 酵素の産業応用のために(固定化酵素、バイオセンサー)
(5) 酵素の産業応用のために(極限環境微生物の酵素)
(6) 酵素の産業応用のために(タンパク質工学)
(7) 発生工学を用いた酵素・基質反応研究 I
(8) 発生工学を用いた酵素・基質反応研究 II
(9) 酵素研究の実際
(10) まとめ レポート提出

前提科目・履修上の注意事項:
特にないが、生化学、分子生物学の基礎知識を有していることが望ましい。 

単位取得条件、成績評価基準:
レポートにより評価するが、授業への取り組み姿勢、出席状況も考慮する。 

指定教科書: なし。プリントを配布。 

参考書・文献:
1)酵素の科学(大西正健著・学会出版センター)
2)酵素の科学(藤本大三郎著/裳華房)
3)酵素のABC(中村隆雄著・学会出版センター)
4)酵素のはなし(中村隆雄・学会出版センター)

オフィスアワー: 水曜日 午後3時〜午後5時(事前に連絡して下さい)

備考(受講学生に望むこと):