応 用 生 物 化 学 実 験 II Applied Biochemistry,Laboratory II
科目番号: G23 1023
単位数: 3単位
標準履修年次: 2年
実施学期 曜時限: 第2学期 月、火、木、金曜日 3,4,5時限 (20回分)
担当教官: 中島 敏明、中村 幸治
前半(担当教官: 中島 敏明)
授業概要:
生物界は、真核生物・真正細菌・古細菌の3つのドメインから構成されているが、これらすべてのドメインに属しているのは微生物のみである。したがって、微生物は生物学的に極めて多様性に富む集団であると言える。また、微生物の中には、高等動植物が棲息できないような極限環境下で生育できるものも多数存在している。微生物は生育環境の面からも極めて多様性に富んでいる。さらに、身近な土壌 1 g 中には約 108~109 個の微生物が存在しているが、それらのうち実験室で培養可能なものは 1% 程度にしか過ぎない。つまり、微生物は地球上で最も魅力に富む生物資源である。本実験では、微生物の取り扱いの基本操作を習得すると共に、自然界からの有用微生物の分離(スクリーニング)を実際に試みることにより、応用微生物学の基礎を学ぶ。
授業内容:
第1回 培地の作製、滅菌法
第2回 無菌操作
第3回 微生物の同定:スライドカルチャー、顕微鏡観察
第4回 微生物の同定:グラム染色、胞子染色
第5回 微生物の同定:生理試験
第6回 大腸菌における酵素の誘導、カタボライトリプレッション
第7回 自然界からの有用微生物の分離 I プレート培養
第8回 自然界からの有用微生物の分離 II 菌の分離
第9回 自然界からの有用微生物の分離 III 分離菌の性質検討
第10回 自然界からの有用微生物の分離 IV 分離菌の性質検討
第11回 実験データ整理、片付け、予備日
前提科目・履修上の注意事項:
特にないが、微生物学、生化学の基礎知識を有していることが望ましい。
単位取得条件、成績評価基準:
出席、実験への取り組み状況、及びレポートによって総合的に評価する。
指定教科書: なし。自作テキストを配布。
参考書・文献:
1)実験農芸化学(下巻)(東大農化・朝倉書店)
2)農芸化学実験書(第2巻)(京大農化・産業図書)
3)微生物学実験マニュアル(協和発酵東京研・講談社)
オフィスアワー:
水・金曜日以外随時 場所:生農棟B117(TEL 4619)
備考(受講学生に望むこと):
後半(担当教官 : 中村 幸治)
授業概要:
生物化学実験・前半において習得した微生物の取扱操作を応用した遺伝子操作実験を行う。生物遺伝情報の担い手であるDNA をグラム陰性細菌(大腸菌)およびグラム陽性細菌(枯草菌)より抽出し、精製する。DNA のもつ生物活性を測定するため、枯草菌において起こる形質転換を利用して染色体 DNA 上でおこる in vivo DNA 組替えを解析する。一方染色体 DNA の持つ遺伝情報の根元である塩基配列を決定するために PCR(Polymerase chain reaction)法で特定領域の DNA 断片を増幅させ、蛍光法による塩基配列の決定を行う。
授業内容:
第1回 培養液・シャーレなど実験の準備
第2回 培養液・シャーレなど実験の準備
第3回 大腸菌、枯草菌、その他多数の細菌から染色体 DNA を抽出
第4回 DNA の精製・測定 第5回 枯草菌の形質転換
第6回 PCR法によるDNA 断片の増幅
第7回 蛍光法によるDNA 塩基配列の決定-1
第8回 蛍光法によるDNA 塩基配列の決定-2
第9回 コンピュータによる塩基配列の解析
第10回 実験結果の解析
前提科目・履修上の注意事項: 応用生物化学実験・ (前期) を履修していること。
単位取得条件、成績評価基準:
実験への出席 (50%) とレポート (50%) のウェートで総合点を算定し、A、B、C、D の4段階の評価を行う。
指定教科書: プリント
参考書・文献:
1) Molecular cloning: a laboratory manual. J. Sambrook, E.F. Fritsch, and T. Maniatis, eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press.
2)ラボマニュアル遺伝子工学 (村松正実編) 丸善
3)遺伝子操作の原理 (オールド、プリムローズ著) 培風館
オフィス アワー:
火曜日13時から17時まで。
場所:生物農林学系棟 F-502 (Tel. 029-853-6419)
備考(受講学生に望むこと): 質問を歓迎。