つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3, XX   (C)2004 筑波大学生物学類

青年男女のフットプリントと体型に関する研究

村尾 智子 (筑波大学 生物学類 4年)  指導教官: 足立 和隆 (筑波大学 体育学系)



<研究の背景>

『変異に富んだ足を均一化された靴で包み,靴ずれ,たこ,まめ,圧迫感に悩むのも文化と自然のぶつかりあいの一局面であろう。』河内まき子(製品科学研究所主任研究員)

 足は第二の心臓とも言われている重要な器官である。我々が普段何気なく行っている歩くという行動にも足は大変重要な役割をになっている。また,歩行行動を支えている足裏のいくつものアーチ,土踏まずを代表とするそれは直立歩行する我々人類のみが持つ大きな特徴であり特権である。
 これまで行われてきた様々な研究により,靴と足の形状,その他の様々な因子と足の形状との相関には実にいろいろあることがわかってきている。ある種の靴を履き続けた結果生じる外反母趾は我々も身近でよく耳にする足の形状変化である。また,身長や体重は足長・足周・足幅など主に足の大きさと相関がみられる。このように足の大きさには遺伝的人種的要因が大きく関わっており,一方日常の履物や生活形態などの環境要因は足の形状に強く影響を与えている。日本人の足に注目してみても,ここ数十年間の間に大きく変化しているようである。生活様式の変化や職業の変化に伴う日本人の体格の洋風化が理由とされている。
 このように様々な我々の変化をあらわし,なおかつ我々が生きていく上で不可欠な足・土踏まずであるのにも関わらず,足の健康やそれを保つ靴に気をつかう人は少ない。歩くこと,生きていくことと密接に関わる足土踏まずを研究することにより,正しい自分に合った靴を選び,正しく歩行することで,健康な足健康な心身を保つことに役立てばと思う。


<方法>

 直立状態で採取された男女それぞれ300名ずつのフットプリント図(右図)と,同時に採取された足の外側輪郭の線およびその線上にマークされた複数のポイントを用いて研究を進める。また,それぞれのフットプリント図に対応した,その人の生体計測情報(身長・体重・上前腸骨棘高・膝関節高・内踝端高など全70項目75個のデータ)も用いる。
 フットプリントの座標をデジタイザーによりコンピュータに取り込み,接地面積,非接地面積全体,内・外側土踏まず面積を計算によって測り前述の体部計測データと比較する。
 以上の方法から得られた結果を多変量解析などを用い統計分析し,足および土踏まずの男女差・左右差についての相関や生体計測値との関係について検討する。