つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G110213
植 物 系 統 分 類 学 実 験 I Plant Systematics,Laboratory
I
科目番号: G11 0213 単位数: 1.5単位 標準履修年次: 2年 実施学期 曜時限: 第2学期(前半)木・金曜日 3,4,5時限 担当教員: 中山 剛
授業概要:
陸上植物を除くすべての光合成生物と藻類に近縁の鞭毛菌類、原生動物を対象とする。特に藻類を中心とするが、これはほとんどが肉眼ではみえない真核微生物である。真核微生物の研究はどのようにして始めればいいのか,その実際を野外での採集,培養,光学,電子顕微鏡試料の作成と観察,スケッチ,写真撮影などを通じて学ぶ。ここで観察する多くの微細藻類は系統的には動物や植物にも匹敵する生物群に属している。多種多様な体制をもつ光合成生物についての細胞構造の理解は植物分類の基礎であり,陸上植物を理解する助けにもなる。また生物の系統進化を考える際には分子系統学的手法も有効であるので、併せてその技術を習得する。実験や観察には前提となる知識が必要なので,植物系統分類学Iとの関連を意識してほしい。これが実験に必要な好奇心や探求心の鍵になる。
授業内容 第1,2回 微細藻類の多様性と観察法(講義)。微細藻類の採集と光学顕微鏡による観察と属の同定。 第3,4回
微細藻類と卵菌類の培養と単離。電顕観察用試料の作製。 第5,6回
植物プランクトンの走査顕微鏡観察。分子形質を用いた系統解析(DNA抽出)。 第7,8回
透過電子顕微鏡による細胞微細構造の観察。分子形質を用いた系統解析。 第9,10回
微細藻類における有性生殖の誘導と観察。分子形質を用いた系統解析(系統樹構築)。まとめ。
なお,属の同定作業は実験期間内を通じて行う(40属の同定結果をスケッチまたは写真で示す課題を課す)。電子顕微鏡の使用はグループごとに行うので,順番が入れ替わることもある。
前提科目・履修上の注意事項: 植物系統分類学Iの事前または同時履修が望ましい。
単位取得条件、成績評価基準: 実験態度,スケッチ,写真,レポート,出席を総含して評価する。実験や観察には前提となる知識が必要なので,植物系統分類学Iとの関連を意識しているかどうかということが,好奇心や探求心をもって実験に臨むための鍵になる。
指定教科書: プリントを配布。また植物系統分類学I(1,2学期)の教科書(冊子)を使用するので持参すること。
参考書・文献: 1) 植物系統分類の基礎 山岸高旺 編 北隆館 2) 植物と菌の系統と進化 西田 誠
編 日本放送出版協会 3) 植物と菌の系統と分類 岩槻邦男
編 日本放送出版協会 4) 藻類の多様性と系統 千原光雄 編 裳華房 5) 図鑑類(学類で用意されている)
オフィスアワー: 中山:生物農林学系棟D518,常時。(内線4533),
備考(受講学生に望むこと):
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