つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4 TJB2005G111401
発 生 学 II Embryology II
科目番号: G11 1401 単位数: 1単位 標準履修年次: 2・3年 実施学期 曜時限: 第3学期 木曜日 1時限
担当教員: 古久保(徳永) 克男
授業概要: 分子発生生物学入門。多細胞生物の発生過程を制御する分子機構の研究は、ショウジョウバエや線虫を材料とする新しい発生生物学の展開により革命的進歩をとげてきた。20世紀の生物学を代表するこの功績を祝福し、ノーベル医学生理学賞が1995年にEd
Lewis, Christine Nusslein-Volhard, Eric
Wiechausの3名のショウジョウバエ発生遺伝学者に、さらに2002年にはRovert Horvitz, John Sulston, Sydney
Brennerの3名の線虫発生遺伝学者に与えられた。本講義の前半では、これらの人々の先駆的な業績に触れつつ、形態レベルのみかけの多様性の背後に隠された普遍的な分子レベルの発生プログラムについて解説する。また、後半では、現在の発生生物学の最大の問題である脳と神経系の形成機構について分子・遺伝子レベルの最新の知見を紹介する。
授業内容: I.
マスターコントロール遺伝子と発生制御 (1)
マスターコントロール遺伝子と発生制御 (2)遺伝子カスケードによる胚の分節化 (3)体節の特殊化とホメオティック遺伝子 (4)背腹軸の決定と普遍性 II.
脳発生の分子基盤と遺伝子プログラム (5)脳形成プログラムの普遍性 (6)中枢神経系の誘導とパターン形成 (7)神経細胞の生成と維持 (8)軸索誘導と標的の捕足 (9)経験とシナプス結合の修飾 (10)学習・記憶中枢の形成機構
前提科目・履修上の注意事項: 細胞学概論、遺伝学概論、発生学概論、生化学概論I,II。
単位取得条件、成績評価基準: 期末試験によって判断する。また、授業中及びその他の時間の積極的な質問を重視する。
指定教科書: 1)
Lodish et al., eds. (1999). Molecular Cell Biology, 4th ed. Chapter 14 "Gene
Control in Development", Chapter 21 “Nerve Cells”, Scientific American Books,
New York, ISBN 0-7167-3136-3.(分子細胞生物学第4版、2001年、東京化学同人)
2) Alberts et al., eds. (2002). Molecular Biology of the Cell, 4th ed.
Chapter 21 "Development of Multicellular Organisms", Garland
Science, New York, ISBN 0-8153-3218-1.(細胞の分子生物学 第4版、2004年、ニュートンプレス)
参考書・文献: 上記教科書の他の章。また、さらに詳しく学びたい人には次の参考書を勧める。 1)
Kandel et al. eds. (2000). Principles of Neural Science, 4th ed. Part VIII "The
Development of the Nervous System", McGraw-Hill, Inc., ISBN
0-8385-7701-6. 2)Walter J. Gehring 著、浅島 誠監修、古久保 -
徳永克男他訳 「ホメオボックス・ストーリー:形づくりの遺伝子と発生・進化」 2002年 東京大学出版会。 3) Sean B. Carroll
著、上野直人、野地澄晴監訳、「形づくりと進化の不思議」 2002年 羊土社。
オフィスアワー:
生農棟B308/D301(Tel/Fax
0298-53-6644)で随時。メールで連絡して下さい(tokunaga@biol.tsukuba.ac.jp)。
備考(受講学生に望むこと):
©2005 筑波大学生物学類 |