つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB2005G210521
細 胞 シ ス テ ム 学 II System in Cell II
科目番号: G21 0521 単位数: 1単位 標準履修年次: 2・3年 実施学期 曜時限: 第3学期 水曜日 3時限 担当教員: 坂本 和一
授業概要: 正常な細胞の増殖は、生体の特異的な要求に答えるように巧妙に調節されており、様々な内的・外的ファクターの変化に応じて細胞の増殖と死が釣り合い定常状態を保っている。例えばがんという現象は、細胞増殖を調節する微妙な制御機構が破壊されて無制限な増殖能を獲得した細胞の状態であり、本来正常細胞の増殖に機能する遺伝子の変異や活性化により誘導されるものと考えられる。本講義では、動物細胞のがん化、細胞死(アポトーシス)、老化(細胞寿命)など細胞の様々な形態的・機能的変化について、がん遺伝子の活性化やシグナル伝達制御など細胞内における諸現象との関連を分子生物学的視点から分かりやすく解説する。
授業内容:
(1) 細胞のがん化(序論):がん細胞の不思議 (2) 細胞のがん化とウイルス:ウィルスの持つがん遺伝子
(3) 細胞のがん化とがん遺伝子:プロトオンコジーンの活性化 (4) 細胞のがん化とがん抑制遺伝子:Rbとp53とその仲間達
(5) 細胞のがん化と分化の誘導:がん細胞を正常に戻せるか? (6) アポトーシスの生理的意義:なぜ細胞は死を選ぶのか?
(7) アポトーシスの実行機構:どの様にして細胞は死に至るのか? (8) アポトーシスとがん:表裏一体の密なる関係とは?
(9) 細胞の老化と不死化:年をとる細胞ととらない細胞 (10) 細胞の老化と遺伝子:老化遺伝子と酸化ストレス
前提科目・履修上の注意事項: 「細胞システム学I」を履修していることが望ましい。
単位取得条件、成績評価基準: 授業出席状況と学期末の論述試験から総合的に判断する。
指定教科書: 特にない。
参考書・文献:
1)細胞の分子生物学(ワトソン他著)教育社
2)分子細胞生物学(ボルティモア他著)東京化学同人
オフィスアワー: 随時 ;生物農林学系棟 B615
; Tel 4676
e-mail; sakamoto@biol.tsukuba.ac.jp
備考(受講学生に望むこと): 特にない。
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