つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB200503HN.

特集:卒業

謝辞総論

新居 洋吾(生物学類 4年生)

 私が生物学類に入学してから、早いもので 4 年の月日が流れようとしています。本当にあっという間に時間が過ぎていったという感じがします。この4年という時間は人の一生からみると短い時間です。日本人の平均寿命を 80 年と考えると、その二十分の一にすぎません。しかし、この大学での 4 年間は最も密度の濃い時間だったのではないでしょうか?
 つくば生物ジャーナルの原稿を執筆するにあたり、自分の4年間の経験などを書こうかとも思いましたが、客観的に見た時に面白いとは限りません。そこで、卒業を迎える仲間たちとこれから生物学類を支えていく後輩たちへ、そして4年間指導してくださった先生方へメッセージを送りたいと思います。

卒業生たちへ

 私が生物学類に入って感じたことは、なんてユニークな学類なんだろうということでした。生物学類に入学した人間は、それぞれが異なるバックグラウンドを持ち、異なった考え方を持っています。博識な友人からは多くの知識をもらい、独特な考え方を持っている友人からは多くの刺激を受けました。「人間誰からでも学ぶことができる」この言葉はどこかで聞いたのか、それとも何かの本で読んだのかは定かではありません。しかし私の記憶に残っている言葉です。生物学類でまさにこの言葉通りのことを実感しました。この生物学類に入り、多くの友人たちと知り合うことができて本当に良かったと思っています。
 その友人たちとも学年が上がるにつれて同じ教室で講義を受けることも少なくなり、研究室に所属するようになってからはほとんど顔をあわせなくなってしまいました。それぞれの道で研究や就職活動に勤しんでいたのでしょう。
 今後は筑波の大学院に進むもの、他大学の大学院に進むもの、就職するものと、それぞれが違った道に進んで行きます。各人が生物学類で学んだことを糧に精進していくことでしょう。また、時には皆で笑い騒ぎ、時には真剣に議論したことを思い出して頑張っていくことでしょう。
 またいつか学類の友人たちと集まって飲むことができたらいいと思います。

後輩たちへ

「社会人は時間を売って金を得ているけれども、学生は大学に金を払って時間を買っているんだ。その時間を有効に使いなさい。」
 これは、ある先生が飲み会の席で言った言葉です。時給 800 円でアルバイトをしていると話した時に、学生の間は時間を切り売りせずに勉強に励めと言われました。これは何も勉強に限ったことだけではないと思います。大学外の活動にしても何か得るものがあったらいいのではないでしょうか。学生の間は何をするにも自由な時間が豊富にあります。大学に顔を出さずに引きこもっていても誰にも文句は言われません(単位が取れなかったら問題ですが・・・)。でもせっかくの時間です、無駄にせずに何か一つでもやりたい事を決めてそれに向かって突き進んでください。これから卒業研究を迎える皆さん、研究に向けて邁進して下さい。1,2年生の皆さんの中にはすでに自分のやりたいことが見つかっている人もいれば、まだ見つかっていない人もいると思います。時間をかけて自分のやりたいことを見つけましょう。生物学類の講義の中には魅力的なものがたくさんあります。講義を受ける中できっと熱中できるものが見つかるでしょう。

先生方へ

 生物学類に関わっている先生方は60名近くおられるので、全ての先生と面識があるわけではありませんが、講義や実験・実習を通し多くの先生にお世話になりました。先生方の講義は、熱く語るスタイルのものもあれば、ジョークを交えながら軽妙に話していくもの、淡々と話していくものと様々でしたが、それぞれの研究分野で活躍されている先生の講義はとても興味深いものでした。
 また、筑波には他の大学にはないクラス制度が存在し、各クラスにはクラス担任がついています。私の1クラスは、担任の中山和久先生が異動になり、2年から小熊先生が担任を引き継いでくださいました。担任の先生は、講義やカリキュラムのことばかりではなく、学生個人の生活に関してもとても親身になって相談を受けて下さいました。
 生物学類の諸先生方、4年間どうもありがとうございました。

下田臨海実験センターのスタッフの方々へ

 私は卒業研究のために 1 年間下田臨海実験センターに常駐していました。この1年が大学生活の中で最も早く過ぎ去った1年であるように感じます。下田の生活に関しても、また研究に関しても全てが初めての経験でした。
 下田は眼前に海の広がるフィールドの充実した環境です。その環境を利用するためには、経験の豊富な技術職員の方々の力が必要になります。また、本学とは遠く離れた環境で仕事を円滑に進めることができるようにして下さった事務の方々、私たちが生活する宿泊棟を管理し、食事を用意して下さった方々など、多くの人たちにお世話になりました。
 多くの面でサポートしてくださったセンター関係者の皆様、本当にありがとうございました。

 最後にもう一度、同じ時を過ごした友人たち、先生方並びの大学職員の皆さん、そして私を大学に進めてくれた父母に感謝します。

Communicated by Masakazu Aoki, Received March 24, 2005.

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