つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2005) 4: TJB200508HY.

特集:大学説明会

マンチェスター大学との交換留学制度

 山岸 宏(筑波大学 生命環境科学研究科、生物学類国際交流委員長)

 大学在学中に一度は海外での大学生活を経験したいと考えている人も、多いのではないでしょうか。筑波大学生物学類は、1999年に独自にイギリスのマンチェスター大学生物科学部(School of Biological Sciences, the University of Manchester)と交換留学の協定を結び、それ以来毎年2〜3名の生物学類生が1年間の留学生活を体験しています。またマンチェスター大学からも毎年1〜2名が筑波大学に留学してきています。この制度には他の留学制度には見られない多くの特典があり、生物学類の魅力の一つとなっていますので、その概要について説明します。
 マンチェスターは、イギリスのなかでも2000年以上の歴史をもつ経済・文化・教育・工業の中心都市のひとつです。そこにあるマンチェスター大学は1852年に創設された最も古い都市大学のひとつであり、3000人の教員と2万人の学生を擁する大きな総合大学です。世界的にも高い評価を受けている大学であり、これまで20人のノーベル賞受賞者を輩出しています。生物科学部では、伝統的な生物学の分野に加えて、タンパク質の輸送、細胞接着、細胞運命等の研究、免疫学、神経生物学、さらには生物情報科学とゲノム生物学といった先端生物学の領域まで、幅広くカバーしています(http://www.biomed.man.ac.uk/rgs/default.asp)。

 この交換留学制度の主な内容は以下の通りです。
   1.3年生または4年生の9月から6月まで1年間の留学
   2.留学扱いで、休学は不要(筑波大学に授業料を払う)
   3.授業も受講するが、主に研究室に所属し、研究を行う
   4.帰国後、筑波大学でも卒業研究を行う
   5.学生寮(flat)に入寮できる

 生物学類での留学生の選抜は、留学の1年ほど前におこなわれます。生物学研究に高い意識があり、国際的な活躍に対する強い意欲があること、期末試験やTOEFLで良い成績をあげていることが選考の基準となります。TOEFLは213点以上が一応の目安です。留学を志す人は、早期に必要単位の取得に勤めることや、目的をしっかりと見据えた英語の勉強が必要とされます。

 この交換留学制度を利用して留学する場合の大きな特典は、マンチェスター大学の単位を筑波大学の単位に読みかえることができるので、1年間余分に大学生活を送る必要はないということです。もっとも、4年生で留学した場合には卒業は次年度になりますが、単位が充足されれば年度途中の卒業も可能です。さまざまな奨学金制度が用意されているので、普段から気をつけておいて申し込むと良いでしょう。留学を経験した先輩たちは、例外なく「素晴らしかった。」「また生きたい。」と話しています。マンチェスター大学での生活は勉学だけでなく、異文化との接触、国際的なコミュニケーション、グローバルな視野、自己変革、など多くの面で得ることがあるのではないでしょうか。

 最後に一つ付け加えておくと、この留学生選抜は現在のところ決して難関とはなっていません。不思議なことなのですが、どうやら募集の掲示を見逃している場合が多いようです。入学時のオリエンテーションで説明があっても、入学後の新たな生活に気をとられているうちに、意識の片隅に追いやられてしまうのかもしれません。2年生の1学期期末試験突入の頃に、掲示板のかたすみに貼り出される募集案内ですが、内実はオススメの留学制度です。お見逃しなく。

Contributed by Hiroshi Yamagishi, Received August 11, 2005.

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