つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB2006G111021

代 謝 生 理 化 学 II     Metabolism and Physiological Chemistry II

科目番号: G11 1021
単位数: 1単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第3学期 水曜日 1時限
担当教員: 白岩 善博、鈴木 石根


授業概要:
 環境要因(温度,pH,光強度,光波長,CO2濃度,O2濃度等)は生物の物質代謝系の変動を引き起こす主要な要因である。例えば,CO2は光合成の主要な基質であると同時に光合成系を始めとする植物の生理機能を制御する重要な制御因子でもある。したがって,CO2濃度の変化は,植物に順化・適応反応を引き起こし,形態変化や代謝系の変動の要因になる。このように,環境要因の影響には,短期的に可逆的な代謝系の変化を引き起こすものから長期的に遺伝的な変異を引き起こすものまであり,本講義では,それらの現象について解説する。更に,代謝調節機構に不可欠な酵素活性の調節がいかなるメカニズムで行われているかについて解説する。

授業内容:
(1)環境変化による代謝系の変動-生理学的影響-
(2)環境変化による代謝系の変動-順化(acclimation)-
(3)環境変化による代謝系の変動-適応(adaptation)-
(4)CO2固定酵素ルビスコの構造,機能,反応調節メカニズム
(5)酵素活性の質的変化による調節機構I:フィードバック制御
(6)酵素活性の質的変化による調節機構II:酵素蛋白質の修飾による制御
(7)酵素の誘導および分解機構(量的調節):de novo合成と分解系
(8)細胞レベルの物質輸送のメカニズムI-エネルギー供給系-
(9)細胞レベルの物質輸送のメカニズムII-トランスポーターの役割 -
(10)期末試験

前提科目・履修上の注意事項:
「生化学概論」,「代謝生理化学 I」を履修していることが望ましい。本講義は,それらの講義で学んだことを理解していることを前提に,代謝調節にかかわる高レベルの内容を含めて講義する。したがって,最新の情報や文献を元にそれらの背景,重要性,問題点等について解説する。

単位取得条件,成績評価基準: 6割以上の出席と期末試験(論述筆記)の成績

指定教科書: 特になし。以下の参考書及び配布資料を補助的に用いる。

参考書・文献:
1)ストライヤー「生化学」第4版,入江達郎ら訳,東京化学同人(2000年)
2)「植物生化学」H.-W. Heldt著,金井龍二訳,シュプリンガーフェアラーク東京,2000年 
3)生物工学基礎コース「植物生理工学」宮地・大森編,丸善,1998年
4)テイツ・ザイガー「植物生理学」3版 L. Taiz, E. Zeiger著,西谷和彦、島崎研一郎 訳,培風館,2004年

オフィス・アワー:
(1)月曜日(18-19時) 生物農林学系棟F501(Tel. 53-4668)
E-mail: emilhux@biol.tsukuba.ac.jp(白岩)
(2)月曜日(18-19時) 生物農林学系棟F502(Tel. 853-6680)
E-mail: iwanes6803@biol.tsukuba.ac.jp(鈴木)

備考(受講学生に望むこと):


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